第1話:ハイジャック事件
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崩さない。
『ずいぶんつれへんやん。友達に連絡するのに用事がないとあかんの?』
わずかに眉を下げて困ったような表情を作るはやてに、ゲオルグは肩をすくめる。
「一応これでも仕事中なもんでね。しかもテロ事件が発生してるようだし」
『テロ事件が発生してる割にはずいぶんヒマそうやん。
特殊陸戦部隊の隊長さんが』
ニヤニヤと笑っているはやての言葉に、ゲオルグは苦笑を返す。
「おかげさまで、優秀なスタッフに恵まれてるもんでね」
『知っとるよぉ。 うらやましい話やわ』
「ウチは他の陸戦部隊じゃ対応できない時に投入される部隊だからな。
それなりの戦力は寄越してもらわないと」
『それも知っとるけど、うらやましいもんはうらやましいねんって』
「はいはい」
ゲオルグは投げやり気味に返事をすると、机の上のカップに手を伸ばす。
「それで、捜査部の方は何もしなくてよろしいんですか?捜査司令どの」
『テロ事件はウチの管轄外やないもん』
はやてはそう言って口をとがらせる。
「管轄外? お節介なはやてらしくないな」
『お節介ってなによ!?』
はやては不機嫌そうに顔をしかめ不平を鳴らす。
『それはまあ置いといて、前にテロ事件が発生した時に現場まで出張って行ったら、
余計なことをすんなって捜査部長に怒られたんよね・・・』
「はぁ? なんでまた・・・」
『部長曰くテロ事件の現場解決は戦闘部隊の仕事で、捜査部の仕事は
容疑者が有罪である証拠を集めることなんやて』
そのときのことを思い出し、さらに不機嫌の度を増す画面の中のはやてに向かって
ゲオルグは同情の視線を送る。
『そやから、テロ事件には顔を出しづらいんよ』
はやてはそう言うと自分の椅子の背に身体を預けた。
「それは・・・」
ご愁傷さま、と返そうとしたとき視界の端にある画面の中で動きがあった。
ゲオルグは椅子に預けていた上体を起こし、身を乗り出すようにして
その光景に見入る。
それは映像の中の隊員たちが船体に近づき、突入の指示を待っているときに起きた。
唐突に警備部隊の隊員たちがバタバタと倒れ始めたのである。
(なっ!)
バンと机を叩いて立ちあがったゲオルグが見つめるウィンドウの中では
次々と倒れる隊員たちと、それを間近で見せられ慌てふためき逃げ惑う
その同僚たちが映っていた。
通信回線の方は彼らが上げる悲鳴や叫び声でいっぱいになり
もはや指揮系統は完全に寸断されていた。
(まずいな・・・)
顔をしかめたゲオルグは机の上のコンソールを操作して通信をつなぐ。
それぞれの画面の中ではチンク・クリーグ・アバーラインの3人が
神妙な顔をしてい
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