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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第1話:ハイジャック事件
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た。

「司令、コンコースの騒ぎは収まりました」

「そうか・・・」

報告に来た警備部隊の女性隊員は、うわのそらで返事をする上司を訝しんだ。
ウォルフの目は次元航行船ではなくその上空に向けられていることに
彼女は気づいた。
そちらに目を向けると、1機の航空機がゆっくりと次元航行船の真上に
近づいてきていた。

「あれはAST−21・・・。 特殊陸戦部隊ですね」

「そうだな・・・」

「私、実際に見るのは初めてなんです」

「私もだよ。 我々の参考になるかは判らんがね」

「そうですね」

2人は窓越しにだんだん大きくなってくる航空機の姿を追う。

「ところで、あんなのんびりと現場に飛んできていいんですか?
 ウチの人たちは狙撃でやられたんですよ」

「私たちは彼らの作戦に口を出す立場にないよ」

「それはそうですけど・・・」

「それにだ」

ウォルフはそこで一呼吸おいて、鼻から大きく息を出す。

「彼らはこの種の鎮圧に関してはプロフェッショナルだよ。
 私たちとは違ってね」

ウォルフはそう言って自嘲気味に鼻で笑う。

「まったく・・・。 次元港という重要施設を警備するものとしては
 手落ちがあったと非難されても文句は言えんな・・・」

ウォルフが独り言のつもりで呟いた最後の言葉は、実際のところ
少し離れて立つ女性隊員の耳に届いていた。
彼女はウォルフの方に一瞬目を向けてから、再び窓の外に見える航空機へと
目を移す。

(ゲオルグ・・・あんたの手腕、しっかりみせてもらうからね)

彼女は航空機に乗り込んでいるであろう弟を思い、その金髪をかきあげた。
彼女の名はエリーゼ・シュミットという。





倉庫の屋上で、男たちは自分たちの頭上を通過していく航空機を眺めていた。

「ありゃあ、管理局の新型輸送機じゃねえか?」

「確かそうだぜ。 試験中だっつう話だったけどな」

「あれがアイツが言ってた本番ってヤツか。 どうするよ?」

3人のうちのひとりが不安げな表情で言う。
だが、リーダー格の男はそんな彼を笑い飛ばした。

「はんっ! 精鋭だろうとなんだろうと、飛行機ってのは降りる瞬間が
 一番弱えんだ。 そこをコイツで狙ってやりゃあ一発だろ」

「でもよ、コイツにあの飛行機を落とすだけのパワーはねえぜ」

ひとりがリーダー格の男に向かって自分の持つ銃を掲げながらそう言うと、
リーダー格の男に睨みつけられる。

「ボケ! 生身の局員がノコノコ降りてきたところを狙い撃ちゃあいいじゃねえか。
 そんくらいは考えろや!」

リーダー格の男は苛立った様子で吸っていたたばこをもみ消す。
その間に航空機は彼らの仲
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