第十七章
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第十七章
「それじゃあここは」
「かわしはする」
役の言葉に限定がかかってきた。
「しかしだ」
「しかし?」
「ただかわしはしない」
こうも言うのだった。
「ただな」
「何か考えがあるんですね」
「あらゆる局面を考えて手を打つ」
役の言葉は普段の冷静なそれであった。
「それだ。だから今は」
「むっ!?」
懐から白い札を出した。それを手から離すをすぐに場所を変える。本郷もだった。そのまま下から突き上げてくる魔物に対してその白い札が光った。すると。
札は無数の白い羽根に変わった。そのうえで魔物に対してまとわりついたのだ。その漆黒の姿にだ。
「見えますね」
本郷はその白い羽根が付いた魔物の姿を見て述べた。
「あいつの姿が。実によく」
「昼に言った通りだ」
役は本郷の横に翼で来ながら答えた。
「黒には白だ」
「ここでやるって意味だったんですか」
「塔の上から見たのもそうだったが」
それもだとは言う。
「しかしだ。こちらが本番だった」
「そういうことだったんですか」
「そういうことだ。しかし上手くいったな」
役は会心の声で述べた。
「魔物の姿が夜の闇の中でもはっきりとわかる」
「ええ。羽根がついて俺の目にも余計に」
見えると言うのだった。
「見えますよ。役さんにもですよね」
「そうだ。もうその姿形までもな」
「それじゃあ。決められますね」
「うむ」
本郷の言葉に応えながらその手にまた札を出してきた。今度は黒い札であった。
数枚持っているその札を魔物に対して投げた。すると札はそれぞれ漆黒の梟となり魔物に襲い掛かる。そして本郷も梟に木を取られそれに応戦している魔物に突っ込み切りつけたのだった。
今度は見事に決まった。魔物は袈裟懸けに斬られた。闇の中に見えることこそなかったがその黒い鮮血が飛び散ったのだった。
「役さん!」
本郷は切りつけたうえで役に声をかけた。
「今ですよ!」
「よし」
役は本郷の言葉に応えまた札を出した。今度はまたあの赤い札だった。
それを左から右に横薙ぎに出すとすぐに火の玉になり魔物に襲い掛かる。それが数個あった。その数個の火の玉は今度は一直線に魔物に向かった。最早その姿がはっきりと見えていたからだ。
火の玉は全て魔物を直撃した。紅蓮の中にその顔のない漆黒の姿が浮かぶ。しかしそれは一瞬のことでしかなかった。まさに一瞬だった。
その一瞬の後で姿を紅蓮の中に消していく。こうして魔物はこの世から消え闘いもまた終わったのだった。
闘いを終えた本郷は役の隣に飛び戻っていた。そうして闇の中に消えていくその紅蓮の炎を見つつ彼に対して言葉をかけたのだった。
「終わってみれば呆気なかったですね」
「そうだな」
役は本郷のその
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