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流星のロックマン STARDUST BEGINS
星屑の覚醒
14 地の底での出会い
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思わず怒りが込み上げ拳を握る。
だがすぐに拳を緩めた。
顔は同じでも外見が違った。
白いワイシャツに青のGパンというネットナビとはかけ離れた格好をしていた。
ナビマークも無ければ、どう考えて普通のネットナビとは言い難い謎の存在だった。

「...勘違いか....」

フォルテはため息をつくと再び足を動かした。
『イモータルエリア』へと向かうためだった。
そこには自分の今までに戦ったことの無いような存在がいるような気がしていた。
だが彩斗の顔は喉に刺さった骨のように頭から消えることはなかった。

「アイツは...一体」

間違いなく普通のネットナビではなかった。
だがこの空間にいる以上はネットナビかそれに近い者、もしくはウイルスだ。
もし仮にネットナビでなく人間に作られたウイルスならば相当な悪意を感じた。
まるで自分を馬鹿にしているかのように。

「アイツは1人いれば十分だ...」















「あぁ......」

彩斗は目を覚ました。
数分の間、意識を失っていたのだ。
あの地獄のような電脳空間での人為的な大災害。
その地割れに飲み込まれて落下した。
無事であるのが不思議な感じはなかった。
辺りを見渡せば、既にデリート寸前のナビたちが大量に転がっている。
自分は他のナビたちとは違うと理解していたのだ。

「ここは....まさか」

なんとなく察しがついていた。
先程見ていた石碑に記されていた電脳獣が戦ったことによって出来た空間だ。
あの大穴の底、アンダーグラウンドだ。
薄暗くまるでジャングルのような異様な空間だ。
だが間違いなく電脳空間だった。

「早く出ないと...」

腹部と足に激痛が走りながらも彩斗は立ち上がった。
そして出口を探して歩き始める。
辺りではうめき声を上げてデリートを待つだけのネットナビの凄惨な死に様が何度も目に入る。
正直言ってネットナビの死と人間の死の違いは大きいものかと彩斗は思っていた。
違いと言えば死体が残るか残らないか程度。
人間は死ねば死体が残る、ネットナビは完全に消滅する、その程度の違いだ。
ネットナビであろうと人間同様に死は恐れるものだ。
ウイルス感染、データの破損、そして人為的なデリートコマンド、人間で言うところの病気、怪我、殺人によって死ぬのとほぼ同義だ。

「うっ!」

彩斗は足元の残骸データに引っ掛かりバランスを崩して膝をつく。
だが立ち上がり、再び歩き続けた。
地獄の屏風絵が司会に広がっている。
むしろ跪いて下を向いていた方が良かったように思える光景だ。
歩きながらもう世界の終わりのような感覚を覚えた。
目の前には数体の野生化したウイルスがいる。

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