星屑の覚醒
14 地の底での出会い
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
他のナビたちは悲鳴を上げて逃げ惑っているというのに、彩斗は一歩も動かなかった。
恐怖で足が竦んでいるわけでもなく、自分の無力を恥じ、逃げることを忘れていた。
Valkyrieの策略に嵌ったようなものだ。
最初から負けていた。
このエリアでの目撃情報があったことから容易に何かしらの罠があることを予想できたはずだ。
そうしている間にも亀裂は彩斗の足元を捉えていた。
大きな物音を立てながらエリアの地面が崩れ落ちていく。
そして彩斗はその場に跪き、その亀裂に飲み込まれた。
ここは何処だ?
単純極まりない疑問を抱きながらもはや夜のジャングルにも近い荒れ野原を彷徨う存在がいた。
ここが俗に『アンダーグラウンド』と呼ばれている場所なのは分かりきっていることだった。
彼は『フォルテ』という名のネットナビだ。
オペレーターを無くした俗に言う『はぐれナビ』。
しかしこのナビはオペレーターを必要と考えてはいなかった。
むしろ人間の存在など必要性を微塵も感じていなかった。
かつて人間に裏切られた。
無実の罪で完全に存在を消され掛かったのだ。
それ以来、人間に収まること無い恨みを抱いている。
もはや怨念と言っても過言ではない。
そして彼にはもう1つの疑問があった。
なぜオレはアイツに負けた?
かつて今まで無敗を誇ってきた自分が一度だけ負けたことがあるのだ。
それも人間の味方をするような一風変わった者に。
今でもその青い姿と憎ったらしい宝塚の男役のような声。
名前は『ロックマンエグゼ』と言った。
自らの生き方を否定し、圧倒的な戦力差にも関わらず何度も挑みかかってきた。
最終的に自らを倒した。
どう考えてもありえない。
その理由、そして更なる強さを求めてこの世界を放浪し続けている。
だがその時、ふと頭上から光が刺した。
「ん?」
見上げれば、まるで隕石のように何かが降ってきている。
まるで流星群だ。
たとえ何処まで心が荒んでいようともその美しさに心奪われぬ者はいないだろう。
幻想的な風景だ。
だがその正体はすぐに分かってしまう。
正体は美しさとはかけ離れたものだった。
「.....フン」
目の前に降ってきたそれを軽くひと蹴りして歩き続ける。
降ってきたのはデリート寸前のナビたちだ。
大気圏で焼け焦げたかのようで虫の息と言った状態だ。
何が起こったかは分からないがオモテのエリアが崩壊したために落ちてきたようだ。
「ん?....キサマは...ロックマン」
フォルテの目に同じく流星の如く落下してきた少年が留まった。
見覚えのある顔だった。
彩斗だ。
かつて自分を倒したロックマンエグゼとそっくりだった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ