何があったの?
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。今回は割りと信憑性があったのに…”
落胆を含んだ声で彼女は言うと電話越で苦笑するコムイの声が聞こえてきた。
“まあ、そういう時もあるからね。ところで”
ところで、と続けられた言葉は声音が変わり、緊迫したものとなった。
“ところで、アルザスに向かっていた神田くんなんだが、現地の探索部隊によると現在レベル3と交戦中で至急増援を求む、とのこと。そこで、リナリー。アルザスから今、最も近いロレーヌにいるリナリーに増援として向かってもらいたい。レベル3以外にも未確認のAKUMAがいるそうだから十分気をつけてくれ”
“分かったわ。すぐに向かうわっ!!”
イーラの口から聞くまでは話半分で聞いていたが、実際に未確認と告げられると恐怖が体を支配した。
しかし、それ以上に神田の状態が気になり焦りと恐怖でギリギリの精神を保っている状態だった。
深呼吸を終えると身も心も軽くなったようになり、リナリーは再び駆け出した。
最新部につくと、そこは開けた場所になっており、爆心地と思われる場所に彼が倒れていた。
近づいていくと、レベル3の残骸やひび割れた六幻が転がっていて戦いの凄惨さが見てとれた。
ここで、ふとリナリーは違和感に気づいた。
身に付けている服から彼と判断出来たが、着用している本人が10歳程の少年が横たわっていた。
「…ウソでしょ?」
慌てて、彼女は駆け寄るが顔も現在の精悍な顔つきとは違うが、リナリーが神田と初めて会った頃の子ども特有の丸みを帯びた顔をしており、紛れもなく彼だった。
少し、動かしても全く反応のないことから彼女は彼の脈をはかった。
(よかった。生きてる…)
どうやら意識を失っているだけのようで目立った外傷もなく、リナリーは一先ず安堵した。
そして、本部へと報告するために彼女は神田を背負い、宿へと帰還した。
宿に着くと、イーラは既に朝食をとり終えており、彼女が背負っているものを見て驚いた。
「どうしたのですか?その少年はまさか?」
「ええ、神田よ。どうしてこんなに幼くなっちゃったのかは分からないけど…」
(セカンドは今は神田ユウしかいないからな。分からないことだらけだ…)
リナリーは神田をベッドに寝かせてから連絡を入れようとした。
しかし、そっと彼の体をベッドに横たえさせた時に彼の体がピクリと動いた。
階段を上る振動で起きてしまったのだろうか
ゆっくりと開くその眼はリナリーをとらえていた。
「神田っ!良かった気が付いたのね。本当に心配したのよ!!」
嬉しそうに微笑むリナリーとは違い、神田は怪訝そうに言い放った。
「お前、誰だ?」
彼女の顔は色を失った。
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