反董卓の章
第1話 「お、おのれぇ! 劉虞! 許さん!」
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上げて愛紗ちゃんを見る。
その顔は………………まるで、まるで。
今にも泣きそうな…………………………
「………………ありがとう、星。もう十分だ……悪かった」
「……いえ」
ご主人様の言葉に、星ちゃんの瞳が揺れて…………顔が伏せられた。
星、ちゃん……
「…………劉虞という人物が、人間的に最低なのはよくわかった。それだけじゃない……さっきも言った民の虐殺の事実。外道、だな」
ご主人様が静かに……だけど、震えるような低い声で呟く。
まるで……怒りを抑えるように。
「うううううううう〜〜〜〜〜〜! り、鈴々は今すぐ白蓮お姉ちゃんの所に行って、そいつをぶっ倒してきたいのだ!」
「鈴々……行くときは私も行く。抜け駆けはするなよ」
「落ち着け、鈴々、愛紗! 星が何故今までそれを話さなかったか……それは二人ならそうするであろうことがわかっていたからだ。お前たちは星の気遣いを無にするつもりか!?」
ご主人様の叱責に、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんが目を見開いて……そして、怒りを抑えるように歯噛みする。
わかるよ……わかる。
私だって……………………………………………………
「……ともかく、そんな人物が白蓮の上にいる。白蓮は地獄の日々かもしれない……………………だが、俺達には、なにもできない」
「ご主人様っ!」
思わず私が声を上げる。
白蓮ちゃんを………………見捨てるの!?
「桃香。俺達は……いや、桃香は州牧だ。だが、同じ州牧でも、あちらは後漢の宗室……桃香は中山靖王の末裔とはいえ、その証拠はない」
「で、でも………………あ、け、剣! 剣があるよ! うちに代々伝わっていた、靖王伝家! あれなら……」
「その剣のことを誰が知っている。その剣が中山靖王のものだという歴史的な証拠が……ない」
「そ、そんな……」
うちに代々伝わっていた靖王伝家……
確かに刃こぼれもしているただの剣だけど。
でも、でも……
「なにか……なにかしなきゃ! 私達、白蓮ちゃんにたくさん恩を受けたんだよ!? 義勇軍の兵だって、武器だって! 全部白蓮ちゃんのおかげなんだよ!?」
「わかってる! わかって……いる。だが……今、白蓮の為に何が出来る? 幽州を攻めるのか? 白蓮を助けるために、白蓮と戦えというのか!?」
「……っ!」
うっ……くっ……
「そもそも、劉虞を攻めれば反逆行為だ。相手は皇族だ! 立派な漢への反逆だ! その結果がどうなるか……言わなくても簡単に想像がつくだろう」
ご主人様の言葉は………………正しい。
せっかくひもじい思いもしなくなり、賊からも怯えなくて済むようになった梁州を…………
「三州同盟だってまだ完全に決まったわけではない。しかも、
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