反董卓の章
第1話 「お、おのれぇ! 劉虞! 許さん!」
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貴様は去年のうちに戻るといったではないか! それを一年も待たせおって……貴様、約束も守れんというのか、ああんっ!?」
「いや、その……不可抗力でして。その、いろいろありまして。その旨をお伝えすることが遅れましたことは、重ねて申し訳もなく……」
俺は殴った相手に平身低頭で頭を下げる。
下げざるをえない。
だってコイツは……
「この劉景升の顔に泥を塗りおって! この一年、貴様の顔を立ててやるために交渉が遅れたのだぞ! どうしてくれるのだ!」
「そ、それについては申し訳もございません! で、ですが臣に文もだし、交渉自体は問題なく……」
「わ・し・わ! 貴様に劉玄徳殿との橋渡しを頼んだのじゃぞ! わかっておるのかぁ!?」
「も、もうしわけございません!」
……荊州州牧となった劉表が、初めてこの梁州に招かれたこの日。
出迎えた俺や桃香に、にこにこと挨拶して晩餐を開いた夜。
詳しい同盟内容での協議がしたいから、と会議の間へ案内した矢先に……こうなった。
ここにいるのは、俺と劉表、そして朱里と雛里。
そして……扉の前では、直立不動で耳をふさいでいる馬正だった。
というか、馬正。
仮にも主が殴られ、首しめられているのにその態度ってどうよ!?
「ふん! まったく……いや、すまぬな、孔明殿、士元殿」
「い、いえ……お約束でしたし」
「…………(コクコク)」
は?
約束ってなんだ?
俺から手を離して、二人に頭を下げる劉表の姿に、むせこみながら訝しむ。
「ふっ……同盟締結の書状に、こう書いておいたのよ。北郷盾二が戻りし折には、儂自ら折檻に参るゆえ、その際は御免赦いただきたいとな!」
「ちょっ……公私混同にも程がありませんか!?」
思わず声を荒らげて言っちまったよ。
「ふん! ぬしが悪い! 儂はお主が玄徳殿に紹介してくれることを楽しみにしておったのだぞ? それを一年も待たせおって! あのようなめんこい子に会うのを一年も待たされたのじゃ! これぐらい許されようぞ!」
どういう理屈だ!
というか、あんた性格変わってないか!?
いや、約束破った形になったのは、たしかに悪かったけどさ……最低限、斡旋仲介はしただろうに。
「カッカッカ! まあ、これで儂の溜飲も納まったわい。では、同盟について詰めるとするかの……済まぬが、うちの文官共を呼んできてくれ」
「あ、はい……」
劉表の言葉に、朱里が扉を開けて外に出ていく。
馬正もその後に続いた。
「えっと、大丈夫ですか、盾二様?」
「ゴホッ! だ、大丈夫……というか、雛里。そんな話、聞いてないんだが……」
「あの、えと、その……………………固く口止めもされていまして。その、劉
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