第十五章
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第十五章
「暫くお待ち下さい」
「それはわかりましたけれど」
本郷はその階段を昇りながら役に対して言ってきた。
「秘策だっていうのは」
「それでも何か言いたいそうだな」
「ええ、その通りですよ」
不平不満を露わにさせた言葉だった。
「何ですか、この階段」
「階段がどうかしたか?」
「滅茶苦茶長いじゃないですか、何なんですかこれ」
「君にはこれ位どうということはないと思うが」
本郷の体力を知っての言葉だった。接近戦を得意とする彼は当然ながらその身体を普段からかなり鍛えている。パートナーである役がそれを知らない筈がなかった。
「違うか?」
「それはそうですけれどね」
本郷自身もそれは認める。
「ですがね」
「ですが?」
「それでも長過ぎますよ」
そしてまた不平を言うのだった。
「この階段は」
「百十二メートルあるからな」
役は本郷から上の方に顔を戻して述べた。
「それも当然だな」
「百十二メートルですか」
「そして階段は四六三段だ」
「物凄いですね」
本郷はその階段の数を見て少し唖然となった。
「話を聞くだけで疲れますね」
「だからそれは君にとっては何でもないのではないのか?」
またこのことを言う役だった。
「違うか?」
「それは確かにそうですけれどね」
彼はまたそのことは認めた。確かにこの程度は彼にとっては何ともないものである。しかしそれでも不平は減らないのだった。
「何か。闘いの前に余計な体力使いますね」
「安心するといい」
しかし役は今の本郷の危惧にはこう返したのだった。
「闘いは昨夜のそれよりはずっと早く終わるずっとですか」
「君だけでなく私がいる」
自分がいると言うのだった。
「私も今度はな」
「闘えるんですね」
「魔物は必ず見える」
彼はまた言った。
「だからだ。安心するのは」
「そこまで言うんならもう安心させてもらいますけれどね」
本郷もいい加減その不平を抑えてきた。
「それじゃあ」
「そうしてくれ。もっともその不平も闘いがはじまるまでだ」
「はじまるまでですか」
「それよりもだ」
ここで話を変えてきた。
「闘いのことだが」
「ええ、それですね」
「君はまずは接近戦を頼む」
本郷に対して次に告げたのはこのことだった。
「私は遠距離から攻める」
「いつもと同じようにですね」
「ただし。昨日と同じだ」
そのうえでこうも言った。
「昨日とだ。それはいいな」
「ええ、それは当然ですね」
本郷はわかっているといった感じの言葉で返した。
「さもないと勝負にはなりませんね」
「そうだ。だからここはあれで行く」
役はまた言った。
「まずはそれからだ」
「ええ。まあやっとですけれど」
本郷
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