壱:始まり
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あくどいって自覚してるじゃないですか」
つっこみながらセリシールはトレードメニューを開いて売るアイテムを次々と表示させる。セリシールの表示させたのは74層で取れる素材だったがごくごく一般的なものなので適正価格で引き取ってくれた。そして次にキリト。彼も同じような物だろうとセリシールは思っていた。だが、トレードウィンドウに表示されたのは驚きのものだった。
「……ラグー…ラビットの肉…!?」
「おいおい…S級のレアアイテムじゃねぇか!俺も実物は見たことはないが…セリシールはあるか?」
「……あるわけないでしょう。あんな男しかいないなかで料理ろくにできる人いませんよ」
「だ、だよな…キリト、お前金には困ってないんだろ?自分で食おうとは思わんのか?」
「思ったけどさ。こんなアイテム扱えるやつなんてそうそう……」
S級食材を扱って美味しい料理を作るには料理スキル後半のさらに後半に到達したプレイヤーでないと丸こげの不味い物になってしまう。セリシールをはじめ、ここにいる3人は料理スキルは皆無だ。だが、そんなときまたこの店にプレイヤーが一人入ってきた。しかもキリトの肩をつんつんとつついて反応を待っている。
「キリト君」
「シェフ確保」
肩をつつかれたことに反応したキリトはすぐさまうしろを振りむいてその手を掴んでそういった。
「……アホですか?」
「別に逃げもしないのになぁ」
キリトの肩をつついたプレイヤーは白基調の戦闘服に身を包み腰に白銀のレイピアを吊るした『閃光』アスナだ。攻略組トップギルド血盟騎士団の副団長を務めている超有名人だ。ただ、そのせいでストーカーやらに付きまとわれたりと危険が多いので今みたいにうしろに護衛の二人をつれている。…いや無理やりつれさせられているといった方が正しいか。
エギルとセリシールの言葉に気がついたのか、それとも護衛の一人の視線が異様な殺気を持っていたことに気がついたのかキリトはすぐに手を離してヒラヒラと動かす。
「やっほ、セリー。数日振りだね」
「…えぇ。そういえば今日はなんのようです?」
「そういやそうだな。こんなゴミダメに顔出すなんて何かあったのか?」
ゴミダメといわれた店主の顔がピクピクと引きつるがアスナからの挨拶にはだらしなく顔を緩ませる。ちなみにセリーとはアスナ命名のセリシールのあだ名だ。なんだかんだまんざらでもない顔をしているのは本人以外が知っている。
「もうすぐボス攻略だから行き照るかどうかの確認よ」
「フレンドリストに登録してるんだから、それくらいわかるだろ?」
「生きてるならいいのよ。……そ、そんなことよりシェフがどうこうってなに?」
この鈍感野郎、とつっこみたくなるところだが残念ながらセリシールにはそんなスキルはない。ただでさえ親しい人に
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