壱:始まり
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日、今の全てが始まった。
詳しくは話すつもりはないが二年前までの私は笑うことすら出来ない人間だった。ただでさえ居場所のなかった私は逃げるようにナーヴ・ギア、そしてこのソードアート・オンラインを購入し、この仮想世界へと飛んだ。理由は違えどサービス開始まで待ちきれなかった人はたくさんいただろう。だがそのサービス開始から数時間後、悲劇は起こった。
『私の名前は茅場晶彦。いまやこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』
茅場晶彦なる巨大なローブのアバターからでたのは簡単に言えばソードアート・オンラインデスゲーム化だ。ログアウトボタンの消失はバグではなくこのゲームの仕様。自発的ログアウトは不可能。強制ログアウト、もしくはHP0はイコール死を意味するということが告げられた。
当然周りのプレイヤーは大混乱、悲鳴や罵声、咆哮も響いてきた。それらに共通するものは「早くここから返して欲しい」だろう。ゲームなんかに命を左右されるのはばかばかしい、という感情もその中には含まれているはずだ。
でも…それでも私はすでに壊れていたんだろう。思ったのは「やっと死ねる」だ。誰にも迷惑をかけず、ただただ事故として扱われる。
今になって思うのはなんでそんな事を思っていたのなら真っ先にモンスターに攻撃されてHPを無くしてもいいし、飛び降り可能だから飛び降りて死ねばよかったのに74層の最前線に今はいる。強い相手と戦って死にたかったのか、それとも本心が実は死を拒絶していたのかはわからない。
死に場所を求めるように戦っていたとき、しつこく話しかけてきたのが師匠ことクラインだ。会った当初はしつこくてそのまま斬ってやろうかと思った。けど、半ば無理やり入れられた風林火山での居場所を作ってくれた、それに他のことも色々教えてくれた、だから師匠と呼んでいる。
―――
「……お邪魔します」
「よぉ、セリシールじゃねぇか」
74層迷宮から、ストレージがいっぱいになりそうなのに気付いて師匠に一言断りを入れてから50層にきたわけだが…。入る前にやり使いの男性プレイヤーと交渉していたのだが『ダスクリザードの鱗』を五百コルというなんとも相場違いな値段で取引する商人を信用してもいいものか…と不安になる。
「……エギルさん、やりすぎです」
「安く仕入れて安く提供するのがうちのモットーなんでね」
安く提供された記憶はほとんどないのだが…と目の前の色黒の巨漢に疑念を持っているとうしろからまた一人、売買のためにプレイヤーが来た。黒いコートを羽織り、背中に片手剣を装備している少年だった。
「後半は疑わしいだろ…。うっす、セリシール」
「…どうも、キリト。やっぱりキリトも思いますよね」
「へいへい…お前らはお得意様だからあくどい真似はしませんよっと……」
「……
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