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少年と女神の物語
第六話
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みせよ!」

 ゼウス様はそう言うと、完全に消え去ってしまいました。
 つまり、もう既に簒奪の円環は回りきり、武双にゼウスの権能が与えられたということ。

「これであなたは私の天敵となったわけですが・・・家族ですし、気にしなくていいですよね?」

 武双と殺しあう未来は、ないものだと信じたい。
 権能を簒奪されるなら武双に、とは思うけど、武双と、その家族と一緒に、少しでも長く過ごしたい。

「あなたが目覚めるまでの間・・・こうしているくらいはいいですよね?」

 とりあえず、武双を膝で寝かしたまま、その髪をなでて過ごすことにします。



◇◆◇◆◇



 目を開けると、目の前に紫色の髪をツインテールにした幼女がいた。
 え・・・これどういう状態?

「あ、目覚めたのねムソー!」
「あ、うん。確かに起きたけど・・・ここはどこ?」

 起き上がって周りを見回すと、何にもない真っ白な空間があった。

「ここは生と死の境界よ、ムソー」
「はあ・・・なんでこんなところに?」
「それはね、あたしと旦那の新しい息子に会うために、あなたを呼び出したのよ。ちょうど死に掛けてるし」

 さらっとものすごいことが伝えられた。
 生と死の境界とか、今死に掛けてるとか・・・今心当たりができた。
 後先考えてなかったけど・・・確かに、神様殺してるんだよな・・・

「ってことは、アンタはパンドラ?」
「そうよ、ムソー。呼び方はお母さんでも母さんでも、ママンでも、好きなのでいいわよ?」

 母親いったくだった。
 確かに、パンドラとエピメテウスの息子ってことにはなるんだよな・・・

「じゃあ、人間の母さんと被ると面倒だから、ママで」

 そう言うと、パンドラ・・・ママは急に嬉しそうにしだした。

「ムソーはいい子ね!他の子供達は誰もそうやって呼んでくれないから悲しいのよ・・・」
「普通、急に言われても対応できないだろうからな・・・経験したことがないと」

 今の家に引き取られたときも、目が覚めたらすぐそこに母さんがいて、私のことは母親として呼ぶように、と言われた。二度目だからそこまで戸惑わずにすんだな。

「あ、母親だと思っていいみたいだし、敬語とか一切使わず、気楽に接するからな」
「うん、それでいいのよ!その点については他の子供達もそうだから、問題ないわ」

 よし、それならこのままいこう。それに、もう俺は神様を敬うような立場にいない。間違いなく敵だ。

「で、ここに呼び出した理由がお話なら、もう用事はすんだと考えていいのか?」
「ううん、ここからが本番よ。ムソー、あなたは本気でアテ様と暮らす気なの?」
「もちろんだ」

 俺は即答した。そのつもりがなければ、誘わな
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