第十三章
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第十三章
「白と黒」
まずはこのことだった。
「そして光と闇だ。そうだな」
「どうかしたんですか？」
「これで見えるようになる」
役は悟った顔でいぶかしむ顔で尋ねてきた本郷に対して答えた。
「これでだ。見えるようになるぞ」
「見えるんですか」
「そうだ、見える」
彼は満足したような声でまた答えた。
「これでな。見えるようになるぞ」
「見えるって何がですか？」
本郷はいきなりそう言われてもわからなかった。首を捻りながら役に問い返すのだった。
「白と黒だの。何が一体」
「昼と夜だ」
今度はこう言う役だった。
「つまりはだ」
「ああ、そうですか」
昼と夜で本郷はやっとわかった。それでであった。
「魔物ですね。それですね」
「そうだ。あの魔物は闇の世界に完全に溶け込んでいるな」
「はい」
「しかしその姿は光に照らし出される」
このことはもう知っていた。昨夜の戦闘で火の玉に照らし出されていた。そのことはもうわかっていたのだ。はっきりと覚えてさえいる。
「光にな」
「それでは」
「そうだ。魔物の姿を照らし出す」
役は言った。
「これで姿が見えるぞ」
「成程、それですか」
本郷は納得した顔で役の言葉に頷いていた。
「見えるようになるんですね。それで」
「それで仕掛けるぞ」
「ええ、じゃあそれで行きましょう」
二人の作戦はこれで決まった。本郷は満面の笑みで、役は思わせぶりな笑みで互いに頷き合う。しかしここで警視正が怪訝な声で彼等に言ってきた。
「ですが」
「ですが？」
「確かに光で魔物を照らし出すのはいいです」
彼もそのことはいいというのだった。
「ですが」
「ですが？」
「それで魔物を照らし出すと市民達にその姿が見られます」
彼が危惧しているのはそのことだった。
「この世にそうした存在がいるとなればパニックになるでしょう。違いますか」
「それはその通りです」
役もそのことは頷いて認めた。
「魔物はいないことになっています」
「そうです」
警視正は役の言葉に応えた。
「それはまさにその通りです」
「私達も表向きの仕事は只の探偵です」
「そっちの仕事もあるにはありますけれどね」
本郷も言ってきた。彼等の表の顔は探偵である。実際は裏の仕事である今の仕事がメインであるがそれでも社会的にはそうなっているのである。
「収入はこちらの方が断然ですね」
「そうですね。それは公には伝えることができない存在を相手にしているからです」
警視正が言うのはまさにその通りだった。魔物は決してその存在が公になることはない。あくまでいないことになっているのである。
「ですから。その姿が晒されるようなことは」
「避けて欲しいというのですね」
「その通り
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