2章 これが「異能者、無能者の会」
第十話「一人」
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む気でいた。
だけど現実は非情だった。
僕ら二人は外の風景を堪能したいがために僕はエリーの手を取って観覧車へと登った。…そこからの記憶はショックのせいかどうしても思い出せない。でも一つだけ言える事は…エリーは死んだということだ。
だが思ったよりは衝撃を受けなかった。長い年月が経ち、耐性が整っていたからかもしれない。
シャイン
「エリー…。」
ハヤト
「思い出したか…。そう、君には妹がいた。でもその妹を亡くし、一人では生きていくにはまだ耐えることが出来ない君は…全てを忘却して…」
シャイン
「お前を忘れ、皆を忘れたのか…。」
複雑な気持ちだ。今までにないこの虚無感…。
確かに分かる気がする。僕が、僕自身が記憶をシャットアウトしていたんだ。
ハヤト
「それだけじゃない…。当時は酷かったよ。彼女を亡くしてからというもの…感情そのものがなかった。でも今は違う…。去年、入学時に君をもう一度見たとき、君は生き生きしていた。でも…なんだか君は忘れているようにも見えた。」
シャイン
「僕にもよくわからないけど…そうみたいだね。」
覚えはないけど感覚はある。不思議だ。
こんな経験、滅多にないだろう。僕の生きてきた人生の大半が空白の時間だったなんて…。
ハヤト
「悪いな。でも仕方がなかったんだよ。こうでもしないと…君は君じゃいられなくなると思ったからね。」
僕に隠された事はまだありそうだ。じゃないと蘇った記憶の断片という断片に説明がつきそうにない。
シャイン
「つまり、僕は エリーの死によって…全てを忘却した、感情も何もかも…。」
ハヤト
「私もよくわからない…。けどまぁ…そうなのかもしれない。」
ハヤトは珍しく気落ちしていた。こんなハヤトは見たことがない。
シャイン
「ありがとな…。」
ハヤト
「ん…?」
シャイン
「感謝するよ。ありがとう。僕を想ってくれて…おかげで目が覚めたよ。僕はいかなきゃいけない。」
ぁあ…そうさ…。行かなくちゃならない。皆に顔を出さなくちゃいけない。こんなところで負の感情を掘り起こしている場合じゃない。確かに過去は変えられない。でも今ならいくらでもやり直せるはずだ。もう僕は振り返らない。前を向いて歩こう。
シャイン
「それじゃ僕は行くよ。」
ハヤト
「あぁ。いってこいよ。 忘れるな。お前は一人じゃない。」
一人じゃない…か。そうだな。僕の周りにはたくさんの人がいる。メルに、ユウタ、シィラに…先生…。うわロクな奴いない。いや、でもそれでも僕にとってみれば、大切なのかもな。
僕は走る。皆と再会するために…今ある時間を無駄にはしない。
ハヤト
「変わったな…。何もかも…。私も…変わるべきなの
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