暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
第53話 足りないもの
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とはかけ離れた悪態をつきつつ、膝から崩れ落ちた木場が地面を殴っていた。

「なんで……なんで僕はあの場に立てない! 同志たちの無念を晴らさないといけないのに……なのになんでこんな所で膝を折っているんだ! 僕に、僕に一体何が足りないんだ!」

 それはまるで血を吐くような魂の慟哭だった。俺達はそんな木場に何も言葉をかけてあげることができなかった。……ただ1人を除いて。

「木場くん。少しでいいので巴柄の表情を見てあげてくれませんか?」

 そう木場に声をかけたのは副会長だった。

「?」

 木場は疑問に思いつつ顔を上げ、戦っている巡の方に目を向けた。一体何があるのかと俺も目を向けてみると……巡は笑っていた。戦っているとは思えないほど巡は心底楽しそうに笑っていた。

「巴柄はいつも剣の鍛錬をするときはあのように笑っています。どんなに辛くとも、それでも強くなっていくのが楽しいと。神裂さんとの実力差が埋まったと実感できればできるほど、もっと強くなりたいと思えると、そう言っていました。木場くん、あなたの過去は会長に伺っています。ですからあなたがこのことに関してそう思えるような状況でないことも分かっています。しかしながら、ほんの少しだけでも視野を広くとってみるのもいいのではないでしょうか? そうすれば見えなかったものも見えてくるかもしれません」

 それを聞いた木場は……何かを考えるかのように俯いた。と、そこでフッと副会長は微笑んだ。

「とは言え、偉そうなことを言いましたが私もまだまだ修行中の身です。言葉で伝えきれないところもあるでしょうし、納得のいかないこともあるでしょう。ですから私も巴柄と同じように言葉ではなく、その行動でそのことを示そうと思います」

 そう言った副会長は手元に魔法陣を出現させるとそこから1本の薙刀を取り出した。ってまさか……。

 俺の懸念は正解だったようで副会長は薙刀を携え結界の方へ歩み寄る。一方その結界の方では……

「くぅっ!」

「強くなったわね巴柄。追いつかれる日も近いかも。まあでも今日は……ここまで!」

 その言葉とともに火織は天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)を大きく横薙ぎに振るう! 巡はそれを刀で受けるけど、勢いまでは殺しきれずそのまま結界の外まで吹き飛ばされた。

「痛たたた…………あぁんもう! また負けたぁ!」

 と言いながらすぐに立ち上がる巡。っていうか火織と戦ったってのに、擦り傷なんかはあっても木場たちみたいな大きな怪我はなしかよ。こいつめちゃくちゃ強えぇじゃねぇか。

「さて……次はあなたですか? 真羅副会長?」

「えぇ、いい機会ですのであなたの強さを直に感じてみたいと思いまして。……それに後輩のために少しでも力になろうとするのは
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