第十一章
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第十一章
「ここは。どうする?」
「引きますか」
本郷も無念な響きの声で役に返してきた。
「このままだとらちがあきませんよ」
「そうだな。今何をしてもな」
「はい、無駄です」
そのことがよくわかる二人だった。実際に闘っているからこそだった。刃を交えないとわからないことがある、それは闘いそのものについて最も言えることである。
「ですから」
「問題はどうやって退くかだが」
「どうします?俺が一撃くれてそれからにしますか?」
「ダメージを与えてか」
「それなら動きも鈍って簡単にいけますよ」
刀を振るいながら言うのだった。その間もナイトゴーントは彼の攻撃を避け続けている。やはり刀が彼を切りつけることはなかった。
「どうしますか?そうしますか?」
「そうできればいいのだがな」
しかしここでの役の言葉は煮え切らないものだった。
「そうできればな」
「小刀なら」
「それでも動きを鈍めるだけのものになるかどうかだが」
「確かには言えませんね」
「そうだな。それならばだ」
「やはり。止めておきますか」
役とのやり取りから考えを変えるのだった。言われてみればその通りだと自分で思うものがそこにはあった。
「ここは」
「そうしよう。しかしだ」
「ええ」
「闘いは止める必要がある」
どちらにしろこれは必要であった。このまま延々と続けていても何にもならない。魔物に対して致命的な傷を与えることができなければ。だとすればやはり取るべき解決は一つしかなかった。
「何があってもだ」
「では。どうしますか?」
「やはりこうするしかない」
言いながら懐からまたあの赤い札を出した。そしてそれを宙に投げ火の玉にした。
その無数の火の玉達を無造作に動かしはじめた。出鱈目と言ってもいい。しかしその出鱈目な動きを見て本郷は魔物から間合いを一気に離し後ろに退いた。役はそこに火の玉を集中させたがそれを見てか魔物は何処かへと飛び去っていった。それは本郷の目にははっきりと見えていた。
「行きましたよ」
「これで間合いが離れたところで一気に退くつもりだったがな」
「その前に向こうが先に退きましたね」
「それならそれでいい」
よしとするのだった。
「どちらにしろこれで目的は果たした」
「はい」
「闘いは終わった」
役はあらためてこのことを言った。
「これでな」
「とりあえずは、ですね」
二人はまだ宙を舞っていた。本郷は翼を使って役のところに来てそのうえで彼に対して述べた。
「一安心ってところですね」
「そうだな。あくまでとりあえずは、だが」
「ええ」
役の今の言葉に頷く。
「これで第一ラウンドは終わりです」
「しかし。厄介な相手だ」
役は彼にしては珍しく言葉を苦いものにさせていた。そう
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