第十章
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せんよね」
「残念だがな」
役は苦い顔で述べた。
「それはな。私の目では無理だ」
「俺しか見えませんね」
本郷だけである。他の者にはその闇夜に完全に溶け込んでいる姿は見えはしないのだ。
「ですが俺の攻撃だけじゃ。こいつを倒すのは」
「私の術もなければか」
「けれど見て下さいよ」
本郷の前に火の玉が来る。先程役が放ったその火の玉だ。しかしそれはあえなくかわされてしまう。見れば動きはお世辞にも速いとはいえないものだった。
「この火の玉は役さんが動かしてるんですよね」
「そうだ」
役は宙を舞いながら答える。式神の翼により。
「この火の玉は全て私が頭の中で念じ動かすものだ」
「見えていたらそれで相手にぶつけることも」
「できる。しかし見えていなければだ」
答えはそこに出ているのだった。
「残念だが。当てることすら」
「そういうことですか」
「そうだ。どうする、本郷君」
役は深刻な響きの声で本郷に尋ねてきた。
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