第五十九話 視線の先には
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り、しかしながらも今のオーブに出来る最大限の支援の方法をユウナは考えていたのだろう。普通に考えていくらクサナギが二年前の三隻同盟の船だからといって放置されている筈がない。おそらくユウナは配属されていたクサナギを自身の権限をもって解任させ、アークエンジェルと同じように、秘密裏に整備、改良を加えられていたという事なのだろう。
「ありがとう、ユウナ。感謝する」
もう一度、カガリは最初の時と同じように頭を下げた。
◇
「貴様……デュランダルッ!?」
アズラエルがザフトの兵士によって拘束されながら連れてこられたのはギルバート・デュランダルの私室であった。一瞬で怒りによって頭が沸騰し、殴りかかろうとするが、周りのザフト兵に取り押さえられ動くことなど出来ない。
「やあ、アズラエル。この場合、我々は初めましてというべきかね?」
「クッ――――何が初めましてだ!!」
自分たちを破滅へと導いた張本人が目の前にいるにもかかわらず何一つ手を出すことが出来ない。そしてアズラエルはデュランダルが見せるその余裕の態度も気に入らない。
「いや、アズラエル。その怒りは尤もな話だ。しかし、私としても自身の夢――――いや野望の為にはロゴスという存在はいらなかったのでな」
ここで言葉を繕う必要はないとばかりに野望と言い放ちながら微笑を浮かべるデュランダルにアズラエルはますます怒りを高める。だが、次に発言した一言が彼の頭上から水を被せたかのように頭を冷やさせた。
「私の送ったデータは気に入ってくれたかね?」
デュランダルの送ったデータ――――一体何の話だ?こいつは何を言っている。そうアズラエルの脳裏にはよぎるがデュランダルは構わず続ける。
「忘れたわけではないだろう?ムルタ・アズラエルが残した諜報部から受け取ったデータ。それはね、全て私が用意させたものだよ」
頭が凍ったように思考が停止する。こいつは今、何を言った、という風に。
「君は私の想い通りに動いてくれたよ。ジブリール以上に役に立ってくれた。『一族』がいなくなっていたことが幸いだったな。諜報部の存在が『一族』に気取られる前に自滅してくれたのはありがたかったよ」
アズラエルの思考の停止を無視したままに彼は言葉を続けていく。淀みなく台詞を言う彼はまるで舞台に立つ役者のようだ。
「G‐Vもビグロも、ノイエ・ジールも――――ましてやコロニーレーザーなどは大いに役に立っただろう?」
「な、何故そんな事をしたというのだ!?明らかに不条理だぞ!」
ようやく動き出した思考の中、まず思いつくのは何故そんな事をしたのかという疑問だった。当たり前だ。どうして自軍を危険にさらすような真似をする必要があるというのだ。
「考えることを放棄
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