第五十九話 視線の先には
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
存在は注目の的といえよう。
元々上層の人間は一部の例外を除いて彼らという存在を疎んじていた。彼らの持つ力は非常に大きく、ましてや軍の絶対条件である数の力が通用しないのだ。もし彼らが敵となって自分たちを討ってきたならば――――そう考えれば彼らを疎んじるのは当然のことだと言えよう。そして、彼らが敵に回ったその時の為に連合はエースでなくともエースに勝つ手段として大型MAの製作やエクステンデット等のファントムペインの部隊を用意し、ザフトは自らの陣営にエースを引き込んだり生み出せばいいと判断した。
「だからこそ、彼らはこの戦争の劇薬的な存在だ。そして一時でもカガリが行動を共にしていた以上、オーブとして少なくとも表立って君の事を公表することも支援することも出来ない」
「……分かっている」
苦々しい顔をしながらもカガリは己を納得させる。彼らアークエンジェルの存在を今、オーブが認めるわけにはいかないのだ。ただでさえ、オーブは窮地に立たされている。メディアではオーブはロゴスの被害を受けた国という形で報道されているが、ロゴスが崩壊した現在、次の矛先がオーブに向かわないとは限らない。
今キラ達が宇宙に上がっている最中も、オーブが支援するわけにはいかない。無論、カガリがアークエンジェルに向かう事もよしとすることは出来ない。
エターナルの所在は未だにわかっていないのだろうか?キラ達は無事に予定通り月の中立都市であるコペルニクスに辿り着けたのだろうか?不安になる気持ちはある。だが、国を思えば、ましてやキラ達の意志を思えば動くわけにはいかない。
「――――ただ、所属艦の中にはまだオーブで正式な手続きを済ませていない艦とMSが無い訳じゃない」
突然、関係のない話をしだすユウナ。その意図が分からずカガリはユウナを見る。ユウナはいきなり目線を向けられたことで少々仰け反るが、一つ咳払いをして話し始める。
「オーブが立て直されたのはほんの二年前だっていうのは言うまでもないことだけど、その際に生き残りの艦が何隻かあるのは皆知っての通りだと思う。イズモ級のクサナギ艦だ。その艦は何故かオーブでの最終検査が二年前から終わっていない――――でしょ、エリカ・シモンズさん?」
そのあからさますぎる発言にウナトやカガリも、ユウナが何が言いたいのかを理解する。
「ええ、確かにある理由でイズモ級クサナギは最終検査を受けていないわ。だからクサナギはアークエンジェルと同じ所属不明艦って事にまだなっているわね」
「ユウナ、エリカ――――」
「残念ながら、クサナギは宇宙用の船だからね。オーブ国内でいる限りは場所を塞ぐだけの邪魔な存在でしかないんだよ――――これが今のオーブに出来る最大限の支援だと考えてほしい」
表立って支援できないのは当然であ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ