第五十九話 視線の先には
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の人間として国を纏める事が出来るのではないか。しかし、現実は非情だ。
これが平時ならばともかく今はロゴスによって世界中に大きな影響が及ぼされた状況での戦時下だ。カガリが今オーブに戻って来るのはセイランにとってではなく国にとって都合が悪い。最も、平時であったならカガリがこれほどの成長を見せる切っ掛けを得れたかは怪しい所だが。
「カガリには本当にすまないと思うが、国に戻っていると発言するのも、アークエンジェルに向かうのも非常に危険だ」
ユウナがカガリに対して言い辛そうに紡ぐ。言葉を選ぶべきかとも思ったが、そういった余計な遠慮はするべきではないだろうと思いユウナは本音で話すことにした。
「やはり、私のこれまでの行いが原因か……」
カガリ自身も分かっていたのだろう。自分の行いがどういった方向性で国を危機に曝したかのかは今回のロゴスの件で大いに理解した。否、させられたというべきだろう。方法はいくらだってあったはずなのだ。もし、などという仮定の話は政治家が使う様な言葉ではないだろうが、もし最初からユウナとの婚約をハッキリと否定してたなら、アークエンジェルでキラ達に説得されず国に戻ってきていたなら、ザフトがロゴスを討つと発言した段階でオーブに戻ってきていたなら――――すべては過ぎ去った以上こういったことを考えても線のないことだが、どうしても頭の中でそういった考えが浮かんでしまう。
「そうだね――――でも、正直に言ってしまえば問題なのはカガリではなくあのアークエンジェルに関してだ。あの艦の立場は君が想像しているものよりも危うい」
オーブという一国家の国家元首と所属不明の一隻の艦。どちらが重要なのかと言われれば普通に考えれば国家元首の方が重要視されるだろう。しかし、あの艦だけは例外である。
「彼らの存在は、彼ら自身が思っている以上に評価されている。無論、良い意味でも悪い意味でもね……」
アークエンジェル――――前大戦で連合初のMS運用を目的とした戦艦。その後もストライクと共に獅子奮迅の活躍を見せ、ザフトの核搭載機であるフリーダムと共に連合を離脱するとともにオーブ戦に参加。その際にフリーダムの兄弟機であるジャスティスが彼らと共に行動し、宇宙に上がってからは三隻同盟とまで言われる一騎当千の英雄的存在だ。
しかし一方で今回の大戦は彼らの立ち位置を大きく変動させた。戦争への介入と共に連合、オーブ共同軍とザフトに対しての無差別的な介入。戦場に出ては無意味に場を混乱させるだけとまで言われる始末。彼らの存在は疎んじられ始めたと言ってもいい。更にはオーブの防衛戦の直前にデュランダル議長がメディアを通じて彼らという存在を悪だと報じたのだ。愚盲ではなくとも近視眼的な見方しかできない民衆大勢は彼らを悪だと思っている筈である。そうした中で彼らという
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