第5章 契約
第74話 翼人
[10/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
予定ですから、このような村でも喰うには困らない程度の食糧を得られるように成って来るでしょう。
その村の村長の屋敷……とは言っても、ハルケギニア世界にやって来てから一番粗末な家がコルベール先生の研究室なら、その次か、その次ぐらいに当たる家だったので……。
その屋敷の中で一番良い部屋に通されたタバサと俺。更に、嫌がる村長に、もしもの際は騎士の誇りに掛けて村民を護ると宥めすかして、未だ意識を取り戻さない翼人の少女も同じ部屋に連れて来て居ます。
もっとも、タバサの言葉通りならば、翼人と言う存在はそれほど好戦的な種族と言う訳でもなさそうですから、精霊を友と出来る俺やタバサが出向いて行けば、現在起きて居る問題もそう拗れる事はないとは思いますけどね。
そんな事を考えながら、表面上は不満げな様子を一切見せない村長。そして、普段通りの透明な表情でマイお箸を持参しての食事中のタバサ。テーブルの上には質素な雰囲気ながらも量だけは多い食べ物が乗せられている、村長宅の一番良い部屋をぐるりと見渡す俺。
其処には質素ながらも頑丈な作りのテーブルと人数分プラス一の椅子。そして、現在は翼人の少女が眠って居る寝台と、更にもうひとつの寝台。
そして、ガラスの存在しない、木で出来た空気を入れ替える為だけに存在する窓が有る部屋でした。
成るほど。何となく、首肯くしか出来ない状況ですが、灯り用のランプが有るだけマシと言う事なのでしょう。
まして、暖房器具の類も存在していないのですが、その部分に関しても炎の精霊サラマンダーを連れて居る俺とタバサならどうとでも成りますし。
其処まで確認してから、俺は出された食事には手を出す事もなく、
「それで、我々はこの村と翼人の間に起きた諍いを解決するように、と命令を受けてやって来たのですが、その諍いとやらの詳しい内容をお聞かせしては貰えないでしょうか」
……と、問い掛けた。
もっとも、食事に手を出さなかったのは、俺が任務に熱心だったからや、騎士従者として、主のタバサが食事を終えた後でなければ、出された食事に手を出してはいけない、などと言う決まりが有ったから、などではなく……。
元々、俺自身に多少偏食の気が有ったのですが、こちらの世界にやって来てからはそれに更に拍車が掛かり、こう言う外回りのお仕事の時は、ハルファスが居ないと非常に辛い状況が訪れる人間と成って仕舞いました、……と言う訳なのですが。
ただ、それ故に、食事に一服盛られる可能性は非常に低い人間と成ったのは確実なのですけどね。
「元々、我々と翼人との関係はお互いを干渉せず。双方、それなりの距離を置いて暮らして来て居たのですが……」
俺の問い掛けに壮年。三十代から、よく行っても四十代前半と言う程度のベルナール村長が訥
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ