第5章 契約
第74話 翼人
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人間のメイジが単独で戦って勝利するのは至難の業。おそらく、彼女を傷付けたのはゴアルスハウゼンの村人ではない」
俺を見つめた後に、僅かに首を左右に振ったタバサがそう答えた。
確かに、こんな田舎の村に、トライアングルとか、スクウェアクラスの魔法使いが居る可能性は低いですか。
それも複数の。
但し、そうだとすると……。
「またもや、表面上に見えていない厄介事が進行中と言う事か」
ため息交じりの一言をそう呟く俺。これで、この翼人の少女をオルレアン屋敷に連れて帰ってから再びここを訪れる、と言う選択肢を選ぶ事は難しく成ったと言う事です。
そう。どうやら、今月のスヴェルの夜も無事に終わる事はない、と言う事なのでしょう。
怪我をした翼人の少女を俺が抱き上げてワイバーンを待たせて有る場所に戻った後、然して待つまでもなく現れる、手に弓矢を持った男たち。
その数、十人程度。
空き地と街道の境界線上からコチラを警戒しつつ窺っていたその連中が、ワイバーンの背に乗せられた翼人の少女と、タバサの手の中に有る彼女の身長よりも大きな魔法使いの杖を認めてから、その中心に存在していた壮年の男性が一歩前に出て来る。
そして、
「騎士さま方は、王都リュティスの方から派遣されて来た騎士さま方でしょうか?」
……と、問い掛けて来た。その口調は丁寧な物。更に言うと、彼の後ろに居る連中も武器。弓を構えるような真似をする様子もなし。
但し、未だ警戒を解いた雰囲気は有りませんが。
「如何にも。此方の御嬢様がガリア花壇騎士に任じられているタバサ御嬢様。そして、私は騎士従者のルイス・ティッサと申します」
蒼髪蒼と紅の瞳と成った俺が、ガリアから与えられた偽名を名乗る。その態度はハルケギニア世界の一般的な魔法使い……貴族と呼ばれる連中が平民に対して行う態度とは多少違う雰囲気で。
もっとも、これから事件の捜査を行おうと言う人間が、この世界の貴族に相応しい態度でその事件の当事者たちに当たったトコロで、有益な情報を得られない可能性が高くなるばかりで益がない、と合理的な判断の元でのこの対応だった訳なのですが。
このやり取りが終った瞬間、この場に現れた連中に明らかな安堵の色が浮かんだ。
そして、
「流石は花壇騎士さまです。到着早々、翼人を一人退治してくれるとは。村長としては感謝の言葉も有りません」
一同を代表して声を掛けて来た壮年髭面の男性。如何にも山間部に住む男性と言う雰囲気の身体の大きい、そして、周囲の連中に比べると、多少は着ている物の質は良いようにも見える男性。
ただ……。
「あ、いや、この翼人の少女に関しては、我々がここにやって来た時には既に傷を負って倒れて居たので、私と御嬢様
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