第5章 契約
第74話 翼人
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す。
そして同時に、
「タバサ。周囲に敵の存在を感知する事はないか?」
……と問い掛ける。
そう。吸血姫へと覚醒をしたタバサの方が、龍種の俺よりも感知。悪意や危険を察知する能力には長けて居ます。俺の感知では、現在、周囲に敵の存在を察知するような事は有りませんでしたが、タバサは違う答えを得ている可能性もゼロでは有りません。
しかし、
「周囲には敵意を発する存在を感知する事はない。但し、現在、この場所に近付いて来る複数の人間を感知している」
普段通りの平坦で抑揚の少ない口調でそう答えるタバサ。
そして、更に続けて、
「既にこの地に霊的な砦を構築済み。しかし、その翼人の女性の怪我の処置を行うのなら、ゴアルスハウゼンの村に運ぶ事を推奨する」
普段にも増してやや硬い声質でそう提案して来る彼女。
確かに、こんなトコロで治療するよりはその方がマシと言えばマシなのですが……。それに、この翼有る少女の方にしても、こんな大地の上に寝転がされた状況で目覚めるよりは、それなりの寝台の上で目覚める方が良いでしょうし。
但し……。
「もし、この娘を傷付けたのがゴアルスハウゼンの住人だった場合、争いの火種を村に持ち込む事に成らないか?」
シルフの治癒魔法により出血も収まり、落下した際に負った傷も癒えて今にも途絶えそうで有った息も穏やかな物に変わって来ている。そんな少女を、彼女を傷付けた可能性の有る人間が住む村に連れて行くのは……。
まして、俺の感知にも、タバサの言う接近中の複数の人間の気配を察知しました。この感覚からすると考える時間は五分から十分程度が残されているだけでしょう。
やや、雰囲気からすると殺気立った雰囲気を発して居るトコロから、俺たちのワイバーンの着陸を見て、警戒しながら近付いて来ている連中の可能性も有りますか。
「タバサ、質問や。ゴアルスハウゼンのような田舎の村に、翼人にこれほどの怪我を負わせるだけの術や技を会得している魔法使いが存在している可能性はどの程度存在している?」
ここで一度、ゴアルスハウゼンの村人たちとの接触を避け、シルフの転移でオルレアン屋敷に戻り、其処でこの翼人の少女が意識を取り戻すまで待ってから話を聞き、再び、ここに転移魔法を使用して戻って来る。
これが、第一の策。
ここで、その接近して来る連中。その連中がやって来る方角にゴアルスハウゼンの村が有る以上、接近中の殺気を孕んだ連中は、ゴアルスハウゼンの村の連中で有る可能性が高い。その連中と接触してから彼らの村に行き、其処で、今の状況について話を聞く。
これが第二の策。
この翼人の少女を連れて行くか、それとも行かないかは、微妙な状態。
「精霊魔法を行使する翼人を相手に、
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