第5章 契約
第74話 翼人
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し。
「その事に因り生息域を侵される事と成った翼人との間にもめ事が発生した」
確かに、俺が起こした風が徐々に強く成って行った結果、発生した嵐ですから、イザベラが言うように俺が行って解決するのが正しいのでしょうが……。
それにしても、事件解決の為に派遣する騎士の能力に関して、もう少し向き不向きを考えてから送り出した方が良いような気もするのですけどね。
更に……。
「その翼人と言うのは、ハルファスのように背中に鳥の羽を持つ亜人で、裏ではガリア王家に仕えて居る連中と言う事か」
少し……。いや、状況をかなり厄介にしているのがこの部分に関して。
翼人と呼ばれる存在は、亜人で精霊魔法の使い手。ハルファスと同じような見た目と言う事は、西洋ではハーピーやハルピュイアなどと呼ばれる風に属する種族の一種だと言う事なのでしょう。そしてブリミル教の教えに従うと、精霊魔法を使う存在は悪魔と成るようなので、エルフなどと同じように嫌われている存在だと言う事。
……に成るのですが。
ただ、ガリアの王家に流れる夜魔の王の血の作用と言うべきか、それとも、使える物は少々の禁忌に触れる物で有ろうとも使え、と言う非常に合理的な判断に因る物なのかはっきりしませんが、件のゴアルスハウゼンの村人と問題を起こしている翼人の群れと言うのは裏ではガリア王家に忠誠を誓っている存在たちらしいのです。
確かに、火竜山脈やラインの急流に守られた天然の要害に等しい同地では空を飛べて、更に飛竜などよりも小回りが利き、系統魔法に対して圧倒的に有利な精霊魔法を行使する翼人を傭兵として雇い入れた方が有効なのは間違い有りません。
まして、地球世界のフランスに置けるスイス人部隊。ギャルド・スイスと言う連中は歴史に名前を残して居ますから、それにファンタジー色を着けたハルケギニア世界ヴァージョンだと考えると、この世界に取って部外者の俺から見ると、そう奇異な物でもないのですが……。
故に、表向きは直接のガリア王家と、ヘルヴェティア地方の翼人とは交渉を持って居る事は明かされて居ませんが、裏では翼人に必要な物資をガリア王家が供給する代わりに、山間部の警戒や、有事の際の援軍などを約束している間柄らしいのです。
しかし……。
しかし、そんな事を知って居るのはガリア王家と、ヘルヴェティア侯爵家に繋がる一部の人間のみ。
流石に、この問題単独でロマリアの異端審問官や異教検察官に大挙して踏み込まれる、などと言う事はないのでしょうが、それでも、多少なりとも後ろ暗い事で有るのは確かなので……。
故に、事態が破滅的な状態に成る前に。更に、ガリア王家と、翼人たちとの盟約が表沙汰に成る前に、この状態の火消しを早急に行う必要が出て来たと言う事なのです。
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