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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第74話 翼人
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 かなり西の大空に傾いた夕陽を背に受けながら、高空を滑るように舞う翼ある竜(ワイバーン)
 眼下には地球世界のアルプス山脈。このハルケギニア世界の火竜山脈の夕陽に赤く染まった雄姿が広がる。

 十一月(ギューフの月)、 第二週(ヘイムダルの週)、オセルの曜日。



 あの十月(ケンの月)、 最終週(ティワズ週)、ダエグの曜日に始まった少女誘拐事件……いや、湖の住人グラーキーの事件の結果、俺が土の契約者と成り、それまでも十分過ぎるぐらいに忙しかった俺とタバサの日常は、更に目まぐるしい物に変化しました。

 先ず、元々熟していた任務。ガリアと言う国自体の霊的防御能力の向上は当然のように継続中。
 その上に、主要な都市にノートル=ダムの聖堂を建てる事が決定。
 ガリアの言葉で『我が貴婦人』を意味するこの聖堂は、表向きは、マルセイユの街の守護聖人スリーズを讃える聖堂として建設しているのですが、その実、古代の有る時点まではガリアを守護していた妖精女王ティターニアの姿形を模した像を聖堂に配置して居る段階で……。

 もっとも、ガリア王国とロマリアの間は、元々表向きは未だしも裏側ではかなり暗闘のような物が有ったようなので、この部分に関しては問題ないでしょう。
 そもそも、地球世界のガリカニズムに近い思想に従って、教皇特使でさえガリア国内では真面に行動出来ない状態ですし、ガリア国内の主流は新教徒の側が力を持って居ますから旧教のロマリアの異端審問局で有ろうとも簡単に動き回る事は出来ないようですしね。

 これで、急場で組み上げつつ有る各都市に存在する龍脈の掌握と、土地神のネットワークの中心に、表向きはブリミル教の聖堂。その実は、ガリアに古くから存在している大地母神からブリミル教の聖人として取り込まれた存在の聖スリーズに、もう一度、大地母神ティターニアとしての側面を取り戻させ、(聖堂)に神として勧進する事に因って霊的防御の要と為す事が出来ると思います。
 そう、これは西洋風の聖堂の形を模した、日本の神の社を作っていると言う事。

 これはかなり推測が混じるのですが、おそらく、その聖スリーズと言う存在は、元々、このガリアに存在していた大地母神への信仰を破壊する為にブリミル教がでっち上げたいい加減な存在なのでしょう。地球世界にもそう言う例は腐るほど存在していますから。
 そう。宗教とはひとつの兵器でも有るのです。
 元々、その地に有った思想や習慣。価値観などを破壊して、自分たちの思想や習慣。価値観などに染め直して行く為の兵器。

 元々存在して居た精霊や大地母神を悪魔として貶め、自らの作り出した聖人をその代わりに拝ませる。そうやって、この地に住んで居た人々の思想や価値観を一度崩壊させて、自ら……ブリミル教の都合の良い形
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