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夜の影
第一章
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ね」
「無論です」
 役が警視正の問いに答えた。
「警視正が今仰ったように犯罪はどの国にもありますので」
「そうですね。やはり」
「そして不可解な犯罪も」
 ここで彼は言った。
「存在します」
「それも何処にでもですか」
「その通りです。そして今このユトレヒトで起こっている事件ですが」
「はい」
 話は本題に入った。警視正の顔は困惑したものから真面目な、確かなものになった。そのうえで話をはじめるのだった。
「まず事情は最初に申し上げた通りです」
「人が消えて上から落とされる」
 役はまたこのことを言葉に出した。
「しかも科学的な証明もできない」
「こうした事件があるとです」
 警視正は真剣な顔であった。
「俗にこう言われます。悪魔の仕業だと」
「欧州ではそうなりますね」
「御国ではどうかわかりませんが」
 二人の国である日本について考えての言葉である。
「欧州では。まだ悪魔という存在を信じている人間が多いのも確かですし」
「しかも実際にいますね」
「否定できないところが残念なことです」
 答えに他ならない今の警視正の言葉だった。
「私も会ったことがありますし」
「どうしてもそうなりますよね」
 本郷は今度はビールを飲みながら警視正に対して述べた。当然ながらこの国のビールである。

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