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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-45託されるもの
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、ミネアが嫌な予感に眉を寄せる。

 人集りから、黄色い歓声が上がる。

「きゃー!マーニャ様ー!こっち向いてー!」
「うるせえな。見世物じゃねえんだ。暑苦しいからあっち行け」
「そういう釣れないところも、素敵ー!」

 マーニャの入る牢を中心として地下室には女性が溢れ、熱気が満ち満ちていた。
 牢番の兵士が一行に気付き、声をかけてくる。

「話は聞いております。行ってしまわれるのですね。寂しくなるなあ……あ、いえ。今、道をあけさせますから」

 女兵士は溢れ返る女性たちを掻き分けて道を作り、周りの牢からは他の囚人の男の愚痴る声が聞こえてくる。

「ほらほら、道をあけなさい。マーニャ殿は無実が証明され、お発ちになるのだから」
「えー!もうお別れだなんて、そんなー!」
「牢から出られるなら、このあと私と!」
「ちょっと!抜け駆けは許さないわよ!」
「ちっ、色男が。ようやく、いなくなりやがるのか」
「馬鹿、滅多なこと言うな!また火の玉が飛んでくるぞ!」
「そうだぞ、次は当てるって言われたろ!」

 聞こえてくる内容に、ミネアの顔がどんどん暗くなる。

「兄さん……。あれほど、大人しくしてろと言ったのに……」
「まあまあ、ミネアさん。当てなかったっていうんだから、いいじゃないの。兵士さんも、怒ってはいないようだし。」
「そういう問題では……」

 あけられた道を通ってアリーナが牢に近付き、鍵を開ける。

「おう。割と早かったな」
「そうだな。俺は待っていただけだが」
「行かなかったのかよ」
「思ったほど強くは無かったらしいからな。待つ間に魔物を散々倒せたし、かえって良かったかもしれない」
「やだ、この子も可愛い!」
「マーニャ様、よかったらこのあと私たちと!お連れの方も一緒に!」
「な!アリーナ様!」

 アリーナにまで矛先が向かったのを感じ取ったクリフトが素早く割って入り、女性たちににこやかな笑顔を向ける。

「皆様。私の主と仲間に、何か?大変申し訳無いのですが、急ぐ旅の途中なのです。こちらの、女王陛下の!要請で、早く旅立つようにも言われておりますし。他にも仲間の、女性たちが!待っておりますので。皆様とは、いずれご縁がありましたらと言うことで。この場は、失礼させて頂きますわ!」

 サントハイムの王城仕込みの洗練された所作に美しい笑顔で有無を言わせず言い切るクリフトに女性たちが怯んだ隙に、マーニャが牢を出て仲間の元に向かい、アリーナも続く。

「なかなかやるもんだな、クリフトも」
「兄さんは、騒ぎを起こさずにはいられないんだね……」
「オレのせいかよ。勝手に群がってきやがったのによ」
「マーニャ。大丈夫だった?」
「問題ねえ」
「そう。よかった」

 まだ何か
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