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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-45託されるもの
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無いでしょう。王として、自国の守りを第一に考えるのも当然。そのような中、巻き込まれる形とは言え貴国で問題を起こしてしまった我々に、お力添えくださっただけでも十分に有り難いことです。どうかそのように、御身(おんみ)を卑下なさいませんように。女王としてお力添え頂いた他にも、ひとりの女性の小さな祈りに力付けられることもあります。もしも、そう願って頂けるならば」

 女王が弱々しく顔を上げ、答える。

「……はい。女王としても、ひとりの娘としても。殿下の……皆様の、旅のご無事を祈りましょう」

 女王は微笑む。

「……随分と、お時間を取らせてしまいました。どうぞ早く、お仲間を出して差し上げてください。そしてもうこの国にご用は無いでしょうから、やはり早く。この国をお発ちになってください。もうお会いすることも無いかもしれませんが、どうか皆さん、ご無事で」



 玉座の間を出て地下牢に向かう道すがら、ミネアが呟く。

「アリーナは、本当に……。ライアンさんと同類というか……」
「私とアリーナ殿が、同類ですか。確かに、前衛という意味ではそうですが」
「女王陛下でなく、ただの姫君であれば良かったのじゃがの。惜しいの」
「……女王陛下で、良かったですわ……い、いえ、その。アリーナ様に、そのおつもりは無いようでしたので」

 アリーナから鍵を受け取り、鑑定したトルネコが声を潜めて叫ぶ。

「あらあら、まあまあ!これは、最後の鍵ね!大変なものを、いただいちゃったわね!」
「最後の鍵?なんだ、それは?」

 アリーナの疑問に、トルネコが答える。

「簡単な鍵を開けられる盗賊の鍵と、少し複雑な鍵を開けられる魔法の鍵は、もう持っていますけれど。誰にでもとはいかなくても、現在でも人の手で作れるそれらとは違って、いつ誰が作ったとも知れない、この世にひとつしかない、この世の全ての扉を開くことができると言われているのが、この最後の鍵なんですのよ。まさか、実際に目にすることがあるとは思わなかったわ!」
「そうか。それなら確かに、大変なものだな」
「最後の鍵に、天空の盾に、場所がはっきりしないとはいえ貴重な武具までいただけるなんて!大したこと無いように言っていたけれど、ずいぶん太っ腹ね!早くマーニャさんを迎えに行って、地下室を探しに行きましょう!」
「うん。マーニャを早く、出してあげないとね」


 地下牢に下りる階段に近付くと、階段下から熱気が上がってきた。

「妙に、暑いの」
「先ほど出てきた時は、むしろ冷えるように思いましたが」

 疑問を漏らしながら階下に向かうと、牢屋の前に人集(ひとだか)りができていた。

「はて。珍しい囚人でも入ったのか」
「……珍しい……囚人……」

 ライアンが素朴な疑問を呟き
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