第二章 風のアルビオン
第二話 婚約者と決闘
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朝もやの中、士郎たちは出発の準備をしていた。
ルイズたちはいつもの制服姿だったが、歩きやすいように乗馬用のブーツを履いている。
そんな中、ギーシュが困ったような顔をしながら口を開いた。
「あ〜……すまない。実は頼みがあるんだが」
「どうした?」
士郎が馬の鞍に荷物をくくりつけながら振り向くと、ギーシュは頭を掻いて申し訳なさそうな顔を向ける。
「えっと、その、ぼくの使い魔を連れて行きたいんだが……」
「使い魔がいたのか?」
「そりゃもちろんいるさ。当たり前だろ?」
「別にいいと思うが……」
士郎たちが顔を見合わせるが、誰も反対の声を上げない。士郎がギーシュに向きなおって許可を出すと、ルイズが首を傾げながら使い魔の居場所を尋ねる。
「ところでその使い魔はどこにいるのよ?」
「ここ」
「いないじゃないの?」
ギーシュは地面を指さしながら言うと、今度はキュルケが首を傾げながら聞く。
すると、ギーシュはにやっと笑い足で地面を叩く。すると、モコモコと地面が盛り上がり小さな熊ほどの大きさのある、茶色の巨大なモグラが顔を出した。
「ヴェルダンデ! ああ! ぼくの可愛いヴェルダンデ!」
士郎の視線の先では巨大なモグラに緩んだ顔で抱きつくギーシュ。そんなギーシュに向け、ルイズが心底呆れた声を掛ける。
「なにそれ?」
「ふふっ、なにそれと言われても困るな。僕の可愛い可愛い使い魔のヴェルダンデだよ」
「あんたの使い魔ってジャイアントモールだったの?」
「そうだよ。ああ、ヴェルダンデ、きみはいつ見ても可愛いね。困ってしまうほど可愛いよ。どばどばミミズはいっぱい食べてきたかい?」
モグモグモグ、と嬉しそうに巨大モグラが鼻を引くつかせる。
「そうか! そりゃよかった!」
ギーシュは巨大モグラに頬を擦り寄せている。
その光景を見て皆が一歩足を下げたことに気付かずに、ギーシュは巨大モグラと戯れている。
「でもギーシュ、その生き物地面の中を進んでいくんでしょう? 付いてこれるの?」
「ふふっ、このヴェルダンデは結構地面を掘って進むのは速いんだぜっ! なあ、ヴェルダンデっ!」
キュルケの疑問に、ギーシュは胸をそらしながら自信満々に言い放つ。
巨大モグラはうんうんと頷く。
それをチラリと見たタバサは、本から目を離さずに指を上に向けてポツリと呟く。
「アルビオンは空。それ無理」
「「「あっ……」」」
「?」
士郎にはタバサの言葉の意味が分からなかったが、どうやら皆は、今から行く場所のことを知っているらしい。タバサの言葉に何か思い出したかのような声を出したギーシュはガクリと地面に膝をついた。
「うう……お別れなんて
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