第十話 幼児期I
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だ。面白いぞー。アリシアの誘い断る気かー」
便乗した俺の言葉にリニスが唸る。唸りながらアリシアをちらちら見ている。彼女の中でおそらくすごい葛藤があったのだろう。
今まで見ていて思ったんだが、実はこのお猫様、女の人には優しいのだ。逆に男の人には警戒心が強く出るらしい。前に上層部のやつらに出くわした際、爪で一瞬にして髪の毛をご臨終させていた。あれはかっこよかった。
まぁつまり、リニスは女の子大好きだから悲しませることだけは絶対にしない。その優しさをもうちょっと俺にも分けて欲しいけど。
少ししてリニスはソファから起き上がり、俺たちの近くまで移動した。静寂が包むリビングで、ごくりと誰かが唾を飲み込む音が響いた。リニスのその目は、まさに覚悟を決めたものの目だった。
「ふ、ふにゃぁぁあああぁぁん!!」
「な、なんてすごいにゅるにゅるなの!?」
「タマだ! 磯○さん家のタマがいる!! ちょッ、カメラどこだ!?」
「負けない。私だってェー!」
「えっ、競うのォ!? これ競うものだったの!? えぇい、俺だって負けるかぁーー!!」
「うにゃぁぁーー!!」
すごい光景だった。
踊り疲れた。とりあえずお茶しばいて休憩しました。
「……すごかったね」
「若いってすごい」
「にゃー」
テンションって時々怖ぇ。リニスさん最初はやけくそっぽかったけど、後半はみんなでなぜかパラパラを踊っていた。いや、ほんとになんでだろう。
「でも、お豆さんもすごいよね」
「あぁ、うん。確かに天まで伸びるんだから、豆もすごいか。でもものすごくケチ臭いよなー」
「そうなの?」
そういえば、童話の話してたっけ。いや、でもやっぱりケチ臭いだろ。確かあの豆は掌サイズだったはずだ。
「空まで続くでかい木なのに、豆は普通に粒なんだぜ。そこは奮発しろよ。おっきい豆とか」
「おっきいお豆さん?」
「そうそう」
明らかにそう思うだろう。そんなにもでかいんだったら、当然豆も大きくていいはずだ。妹も大きい豆に興味をもったみたいで、わくわくしている。リニスもアリシアの膝の上に丸まりながら、耳がぴくぴく動いていた。
「そういえば豆って、袋の中にいっぱい入ってるんだ(果皮のこと)」
「お豆の家族さん?」
「そうそう。そんで袋から豆が飛び出すんだぞ(繁殖のために)」
「飛び出すの!?」
199X年 広大な大地の上に、1本の豆の木がそこにはあった―――
巨大な豆の木に実る無数の巨大な豆。そしていっせいに袋から飛び出していく。飛び散る豆流星群。空から飛来する豆ミサイル。それはまさしくメテオのごとく。阿鼻叫喚の世界。めり込んだ地面からまた生える巨大な豆の木。エンドレス
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