第十話 幼児期I
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ヴィンが勝っている。だが、俊敏性を生かした速さはリニスに軍配があがるだろう。
そして、2人は激突した。
結果:猫パンチ炸裂
――リニスが来てから3週間後――
「猫に負けた…」
『本気で落ち込んでますね』
猫に本気の勝負を挑んで負けた少年。さすがに彼のデバイスもなんと声をかけていいのかわからず、戸惑っていた。
アルヴィンはこれまでの戦いを振り返る。素早く動く薄茶色の閃光に翻弄され、最後は猫パンチを顔面に食らった。少年がこの戦いで思った感想が1つある。
「良い肉きゅうだった…」
『実はあんまり堪えてないでしょ』
だてに半月以上挑み続けてはいなかった。
「リニスの強さはあの速さだ。あのスピードをなんとかしないと…」
『というか、なんでそこまでしますかね』
「意地」
『……簡潔で』
最近のスケジュールとしては、みんなで遊んだり、勝負したり、情報収集したり、ご飯食べたり、コーラルが隠密発動したり、修業したり、ある人にメッセージを送ったり、お昼寝したり、放浪したりしていた。
「そういえば、今日同僚さんが家に来るんだっけ。久しぶりだな」
『またお酒飲まれそうですね』
「テンション高いもんな…。前に来た時は『出会いがなさすぎるぅ!!』って母さんに泣きながら絡んでいたっけ」
麗らかな独身女性を、少年とデバイスは思い浮かべる。最近の彼女の趣味はワイン集めらしい。そういえば噂でMyワインも持っており、名前も付けて愛でていると聞いたな、とアルヴィンは思い出す。
以前男だからと、4歳児相手に「太ももが太い女性ってどう思う?」と真剣に相談しに来るような女性である。ちなみにその時の少年の返答は「いいと思いますよ。俺は細すぎるよりかは、健康的な女性だと思いますし」とまじめに返していた。おい、4歳児…。
「同僚さんっていつも全力全壊だよな…」
『方向性さえ間違えなければ、本当に優秀な方なのですけどね…』
「同僚さんかー」と呟くと、ふいにアルヴィンは考え込む。コーラルは自身のマスターの行動に不思議そうに疑問をこぼした。
『どうしました』
「俺、リニスに本気で向かっていたつもりだったけど、どこかでセーブしていたのかもしれない。同僚さん思い浮かべたら、そんな気がしてきた」
事実、アルヴィンは自身にある能力を使っていなかった。己の身体1つで立ち向かっていた。さすがに猫相手にそれは大人げなくね? と思っていたからだ。だが、果たしてそれは本当に全力だったといえるのだろうか。その問いに彼は眉を顰める。違うとそう感じたからだ。
「そうだ、俺は弱い。猫よりも弱い。なのに本当の全力を出さないなんて、俺はバカだった」
『いや、なにもこんなことでそ
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