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魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
38話:光へと変わる体
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グイッ
「っ、わ!?」
誰かに肩をつかまれ、フェイトの体は後方へと無理矢理下げられる。向かう先にいたなのはは、うまくフェイトをキャッチする。
それと同時に響く衝突音。二人は思わず顔を上げると、そこでは剣を管制人格へと向けて振り下ろしている士がいた。管制人格の方も、士の剣をフェイトの時と同じベルカ式の防壁で防いでいた。
管制人格の意識が防御へいったおかげか、フェイトの体の変化も収まっていた。
「「士(君)!?」」
「ぐぅ、おぉぉ!」
「お前はディケイド……いや、門寺士と言うべきか」
「知っててもらえるとは、光栄だね…!」
二人が面と向き合って話している間にも、士の剣が徐々に彼女の防壁にヒビをいれていく。
その事に気づいた彼女は、自分の脇に二本の赤い短剣を出現させ、士の腹へと放つ。
「っ!がはっ!?」
士も気づきはしたが、そこは空中。飛行魔法は勿論使えず、ましてやディケイドには飛行能力はない。身動きが取れないまま、士はその攻撃をもろに受ける。
短剣の爆発で管制人格から離れる士。しかもその間に遂に限界が来たのか、変身が解けて子供の姿に戻ってしまった。
「主の願い…お前も、主と共に眠るといい…」
「なん…っ!?」
士は彼女の言葉に何か言おうとしたが、すぐに自分の体がフェイトと同じように光り始めたのに気づき、言葉を切る。
「(くそっ!逃げきれねぇ!)なのは!フェイト!」
「「……!?」」
回避は不可能と判断した士は、顔を後ろに向けてなのはとフェイトを見る。その二人は士を助けようと必死に手を伸ばそうとしていた。
そして士は消える直前、口を開いた。
――――諦めるなよ!
その声にならなかった言葉を残し、士は光と共に消えていった。
〈Absorption(吸収)〉
そして最後に機械的な音声を残し、輝いていた闇の書の光が収まっていく。
「「………」」
呆然と見るしかできなかったなのはとフェイト。伸ばしていた手は垂れ下がり、その二組の眼には涙が溜まっていた。
だが、フェイトは……次の瞬間動きを見せた。
「こ……のぉぉぉぉぉ!!」
「「っ!」」
大きく見開いていた目はキッと鋭くなり、目に溜まった涙を振り捨てるように管制人格の元へと飛んだ。
「フェイトちゃん、ダメェ!!」
「士を……返せぇぇぇぇぇぇぇ!!」
先程と同じようにバルディッシュを振り下ろすフェイト。だが、結果は変わらない。同じく防壁によって阻まれる。
「うあぁぁぁぁぁ!!」
「怒りで我を忘れたか……だが、お前にも心の闇があろう…」
管制人格の言う通り、フェイトは怒りに任せて叫ぶ。士が居なくなってしまった事に、そして士を助けられなかった自分に。
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