森林での戦い
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回避を試みるには遅く、タクはジャギィに組み敷かれてその乱杭歯が並んだ顎に喰らい付かれた。
「ぐるるるるる……!」
しかし、喰らい疲れたのは鉄で補強された革が巻かれた左腕だ。鈍い痛みはあっても簡単には喰い千切られはしない。そしてその隙を突く形で右手の斧をその頭に叩き付けて叩き付けて叩き付けまくる。
「このっ! このッ! この野郎ォッ!」
斧が頭に叩き付けられる度にジャギィが悲鳴を上げて血飛沫が宙を舞い、返り血が降り掛かるがそんな事に構ってられる余裕は無い。
ジャギィの顎から力が抜け、それを察知したタクは乱暴に腕を払ってジャギィを振り払って起き上がるも、三頭ものジャギィが自分を囲みその内の一頭が今にも飛び掛らんと膝を曲げているのが見えた。
「ちぃっ!」
「伏せなぁッ!」
思わず舌打ちするも後方からの仲間の声で思わず寝転がるように地面に倒れこみ、先程まで頭のあった位置を茶色い玉が通過してジャギィの顔に直撃して鼻の曲がるような異臭を撒き散らす。
「ギョワっ!?」
「ギャウンギャウン!」
「ギャウウウウウ!」
玉が破裂して異臭を放つ茶色の液体をぶちまけられたジャギィと、巻き添えを食らった他の二匹は走り去っていった。
「うえ……肥やし玉かよ」
異臭に顔をしかめながら思わず呟いた。
肥やし玉は文字通りモンスターの糞であり特に肉食種のソレは異常に臭く、これはそれに薬品を混ぜ合わせることで臭いをより強烈にしたもので、これをぶつけられたモンスターはその臭いを嫌がって逃げる者すらいるほどだ。因みに携帯時は土で薄く覆った上で薄布を巻き『取り扱い注意』と書かれている。
「タク! こっちを頼む!」
呼び掛けにハッとなったタクが振り向けば、目潰しがまだ効いているジャギィノスの後方で大剣を振るってドスジャギィと、複数のジャギィとジャギィノスを牽制しているテツが目に入る。
「今行く!」
タクは転がっていた太刀に跳び付くと共に握り締めて立ち上がり、手近なジャギィに向けて切りかかった。
「やばくなってきたか……」
朱美は大きな木を背に、小銃に弾丸を手早く込めながら呟いた。
目の前にはジャギィ達から自分を守るように槍と盾を構える仲間がいる。
しかし彼にもすぐ側でドスジャギィ達を相手に戦っている仲間達も疲弊し始めている。
そして、ガンナーである彼女にとって一番深刻な問題が訪れつつあった。弾切れが近いと言う事だ。
幸いなのは非戦闘員の湯治客達が隠れている所から出てこない上に為にまだ見付かっていない事くらいだ。多少の音くらいは出しているだろうが、戦闘で派手な音を撒き散らしいている為に聞こえようが無いだけだろう。
ボルトを押して初弾を装填する。
敵は槍兵の防御力と、それでも存在する僅かな隙を縫う形で
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