森林での戦い
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回した救助者達の顔は不安気だったが、最早そんな事に構ってられる余裕は無い。寧ろ、体勢を立て直す時間があっただけ幸運なのだ。
「今からアタシ達は全力で奴等にブチ当たる。キミ達はここにいてくれ」
「え? ……お姉ちゃんは?」
少年が不安そうな声を上げる。
「ま、何とかなるんじゃないかとは思っているさ」
朱美はそんな少年の不安を少しでも和らげる為に、楽観的に言って見せる。
「お気をつけて」
「まあ適当にやるさ」
少年の母親の声に答えながら、仲間達を見る……準備は万端だ。
朱美はそれを見ると腰の後ろのバックパックから色の違う小瓶を一つずつ取り出し、片方の開け口部分にある摘みを捻ると真上に投じ、もう一つも続けて投げる。
最初に投じられた瓶が周囲に響き渡る轟音と共に破裂する。『音爆弾』と呼ばれる、大きな音に弱いモンスターの聴覚器官を揺さぶる物だ。しかし、今回の用途は違う。
音爆弾の音に釣られたジャギィ達が一斉に音のした方向に視線を送る。その先には先程朱美が投じたもう一つの瓶が宙を舞っていた。
その瓶が目の眩む閃光を発し、周囲の景色を真っ白に染め上げる。
『ギャウウウッッッッ!!!!!』
閃光を直視したジャギィ達が悲鳴を上げた。朱美の狙い通りだった。
最初に音爆弾を投げてその音で注意を引き、続けて投じておいた閃光弾を音爆弾に遅れる形で炸裂させて、その効力を最大まで引き出す。
「攻撃開始ッ!」
『応ッ!』
朱美の号令と共に三人の狩人が各々の武器を一斉に構え、視界を封じられて頭を振るか闇雲に爪を振り回すだけのジャギィ達に突進し、朱美は手にした小銃を構え、一番遠くに見えたジャギィの頭を狙い、引き金を引いた。
放たれた弾丸は吸い込まれるようにジャギィの頭に直撃し、脳髄を撃ち抜いた。
「せいやあっ!!!」
テツと呼ばれたハンターが鉄塊ような無骨な大剣をジャギィの首目掛けて振り下ろし、一撃の下に切り落とす。続け様に前へ踏み込みながら左から右へ掛けての横殴りの一閃を繰り出し、二体のジャギィを薙ぎ払う。
「おるあッ!」
「ドリャアッ!」
振るわれる太刀と突き出される槍が的確にジャギィの首を断ち、喉を刺し貫く。
初手としてはまずまず、敵はまだまだ多い。倒れたジャギィ達には目もくれずにハンター達は生き残るべく次の獲物に攻撃を繰り出す。
無数の足音が近づいて来る。ジャギィ達の群れが追い付いてきたのだ。だが、上等だ! とばかりにハンター達は各々の武器を構え直した。
「いくよ野郎共! 気合入れなあッ!」
『応ッ!』
目を回していたジャギィ達を片付け終えた彼らは朱美の号令で血の滴る武器を構えなおし、朱美は遠目に見えた最初のジャギィの群れに向け引き金を引きまくった。
「ん?」
木の上で周
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