拠点フェイズ 3
拠点フェイズ 馬正
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みたい気分なのだ!
「……なにか嫌なことでもあったんですかい? 子龍様がこんなに乱暴に飲まれるのは初めてですが……」
「…………………………なにもない」
ない。
なにもないのだ!
くう……
せっかく……せっかくあそこまで用意したというのに!
その代償が、たかが接吻一つだとぉ!?
「おのれぇ! ごくごくごく……」
「あああ……そんなに勢い良く飲まれるものじゃないですや。なにかわかりませんが……元気だしてくだされ」
「ぷはぁっ! 店主っ! お主にはわかるまい! この私の……この私の溢れる思いが! 無念が!」
「……………………(ふるふる)」
おのれ、店主め。
首を振りながら店の奥に引っ込みおった。
私のこの無念、誰がわかってくれよう。
「なによりも許せないのが……この私自身だ……」
たかが接吻一つで気絶など……なんというもったいないことを!
確かに……確かにあの接吻は応えたが。
口の中で舌と舌が交じり合い、歯茎を舐め、口内を弄るその快感は、筆舌に尽くしがたい!
その上、魂までも吸い取られそうな吸引が始まると、こちらの舌をしゃぶるように舐めとってくる……ああ、思い出すと全身が震える!
だが……だがそれでも!
たかが接吻ごときで、この私が……氣をやってしまうとは!
「くううう……なんと、なんと情けない! 私は……なんという千載一遇の好機を!」
桃香様を逃した後に、そのまま酔った勢いで抱かれるはずだったのに!
まさか、私のほうが接吻一つで気絶させられるとは、不甲斐ないにも程がある!
この趙子龍、一生の不覚っ!
「……主の技術とは天と地ほどの差があるということか。なんということだ…………このままでは、私は夜這いしたとしてもすぐに轟沈してしまうではないか」
襲った方が、襲われた方よりも早く意識を失うなど……恥以外何物でもあるまい。
主に我が純血を捧げるには……
「私自身、知識も技量も蓄えねばならんということか!」
「……よくわかりませんけど、とりあえずこれをどうぞ」
む?
顔を上げれば、そこに奥に引っ込んだはずの店主がいた。
その手には……
「おお、メンマ!」
「腹に何も入れないで、そんなに飲むのはまずいですや。こんなもんしかありませんが……つまみにどうぞ」
「かたじけない! 親父、ありがたく馳走になる!」
そのメンマを口に頬張る……うむ、うまい!
このシャキシャキした歯ごたえがたまらん!
うむ……そうだな。
私もメンマのように精進せねばならん。
次こそ必ず……我が純血を、主に捧げるのだ!
「見ておるがいい、主! はぁーはっはっは!」
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