拠点フェイズ 3
拠点フェイズ 馬正
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かわいかったよ」
「思い出してくれたのですか!?」
パッと明るくなった愛紗が顔を上げる。
「ああ、ちゃ、炒飯食べたな。そのあと……そのあと……」
「は、はいっ!」
なんだろう……愛紗が目を輝かせている。
なんかあったっけ……?
「ええと…………………………………………………………」
「はいっ!」
「…………………………………………………………ごめん、その後のことが思い出せない」
がーーーーーーーーーーーーーーーんっ!
俺の言葉に、ムンクのようになった愛紗。
え? あの、俺……何かしました?
「お、俺って深酒すると、前後の状況が完全に不覚になるから……う、うん。ごめん……」
まるで天地の終わりが来たような、そんな絶望の表情で崩れ落ちる愛紗。
えぇ……?
俺、そんなにひどいこと、なんかしたの!?
「御遣い様……そりゃひどいですよ」
「えええ!? おっちゃんまで!? い、いや、あの……俺、酒飲むと完全に記憶なくなるから……」
「飲まなきゃよろしいのに」
「飲みたくなくても飲ませようとするやつがいるんだよ! 付き合いがあるの! というか、普通にチビチビなら記憶失うほど飲まないのに……」
俺がこんな深酒をするってことは、無理やり飲まされたんだと思うんだけど……
というか、本当に記憶が無いからどうしようも……
「あ、あの……愛紗、さん?」
うなだれ、床で震えていた愛紗が、すくっと立ち上がる。
その表情は……前髪で隠れて見えないけど。
すげぇ嫌な予感がした。
「え、ええと、あい――」
「ご主人様のバカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
ズパァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!
そのビンタは……どんな攻撃よりも効いたよ。
なにしろ……生身の状態で、壁に突き刺さったのだからな。
この俺が。
―― 劉備 side 漢中城下 ――
…………………………きれい。
空が青い。
雲ひとつ無い快晴の空。
まるで、その青色が輝いているように見える。
大通りに面した茶屋の店。
ここの路上に設置された椅子と食卓でお茶を楽しむ私。
ここにいると、道行く人たちの顔がよく見える。
彼らの笑顔は……今、まさに私を祝福してくれている。
街の人たちの笑い声が、祝福の楽器のように聞こえる。
子どもたちが、まるで喜びを分かち合うかのような、楽しげな笑顔で通りすぎていく。
ああ……世界って、すばらしい。
「お姉ちゃんが変なのだ……」
私の前で座る鈴々ちゃんが、
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