第28話 「帝国の現状」
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効率化をした際、大量の失業者が増えるな」
そうか、農奴を解放すると、大量の失業者を生み出してしまうのかっ。
ゲルラッハが顔面を蒼白とさせておる。失業問題は、財務尚書としては見過ごせんか。
「人口の少ない惑星に移住させるとしても、現状でさえ、食糧問題は起きていない。むしろ余っているぐらいだ。戦争で大量消費しても、な」
「確かに、効率化してさらに大量の農産物ができたとしても、むしろ余剰となり、値崩れを起こします」
ゲルラッハが真剣な面持ちで言う。
う〜む。効率化も一概に正しいとは言えぬか……。
厄介じゃのう。
「エタノール化して代用エネルギーにしても、消費量よりも生産量の方が多いかもしれん」
「突き詰めれば、人口問題に行き着きます」
「財務尚書の言うとおりだ。人口が少ない。これが最大の問題である。他の問題はこれに比べれば、たいした事はない」
「出産を奨励しても、戦争による人口低下、徴兵問題の所為で、出産率が低くなっております」
「どうせ、戦争で取られるんだから、産まなくても構わない。そう思う女性も多いという事だ。百五十年も戦争してりゃあ〜そうなるだろうな、むしろ今まで、よく持ったもんだ」
事務局の連中が頭を抱えている。
連中は農奴の教育問題だと、考えていたのじゃろう。
わしもそうだと思っておった。
しかし皇太子殿下は、人口問題だと仰る。
生産量、生産品質を向上させても、消費者が少なければ、意味がない。
これは同盟側も同じじゃろう。
「ただし、農奴解放を行えば、一時的にではあれ消費者は増えるし、人口も増えるだろう。今まで結婚すら考えもしなかったような連中だ。できるとなればするだろう」
「やりますか?」
「やるさ。どうせ今まで、何もできなかったんだからな。できるうちにやろうとする。そして兵士の一部を民間に戻す。男女比が著しく偏っているからな。結婚できない女性も多いんだ」
結婚できない女性。
帝国は女余りじゃ。男性が戦争に取られ、少なくなっておる。
男が戻ってくれば、結婚できる女性も増える。そうなれば少しは出生率も増えるじゃろう。
「今のうちに再び、休戦状態に持っていきますか?」
シルヴァーベルヒが口を挟んできた。
「そうすると、同盟側も国力を回復させようとするだろう」
「リッテンハイム候の言うとおりだ」
ブラウンシュヴァイク公が言う。
「同盟を引っ張り出して、叩いておく必要がありますね」
クロプシュトック候の息子、ヨハンも言い出す。
「同盟側の一〇個艦隊のうち、半数は叩いておきたいな」
「主戦派を煽りましょう。あいつらを煽って見せます」
シルヴァーベルヒの言葉に、オーベルシュタインも頷いておる。
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