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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第28話 「帝国の現状」
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の調査が入る事になる。
 いささかそれは貴族の方に、不利になりすぎではありませんかな?

「いいかよく聞け。統治は貴族が行う。平民は意見を述べる。問題が起きれば、平民の調査が入るが、最終判断は、皇帝もしくは帝国宰相が行う」

 ふむ。最終的に皇帝の意志が判断、決定するのか。
 一番上は皇帝陛下という事か……。
 正統な統治者と正式な調査団。この両者の意見を判断、決定せねばならぬとは、皇帝は強くなければならぬな。意志薄弱では為せぬ事よ。

「基本的には法に則って判断するが、どうせこの手の事は、利害のぶつかりあいだ。訴える権利を持つ者を、一方的に弾圧を加えられるほど、これからの帝国は甘くない。それでもなお不当だと訴えるのであれば、調査が入る。貴族の側も専門家に依頼しても良い。同じ事柄を違う目線から見た場合、様相も異なるだろう。その結果、判断は皇帝にさせる」

 それができぬほど、弱い皇帝など取り替えてしまえ、か。
 それは幼くして即位せねばならなかった皇帝の、後見人にも同じことが言える。

「それができねば、後見人の資格もない」

 皇太子殿下のお考えは、厳しい。
 まず第一に帝国を背負う覚悟を持て、と仰っているのだ。
 それができなかったから、今の帝国の有り様になった。
 皇帝も意識改革をせねばならぬのだ。

「閣下」

 冷静な声が部屋の中に響いた。
 声の主はやはり、オーベルシュタインか。

「宜しいでしょうか?」
「許可しよう」
「では、この様な重大な案件は、一度各自で思考を巡らさねば、答えようもございません。意見の返答は次回にさせていただいても宜しいか?」
「なるほど、卿の意見には聞くべきものがある。俺も少し先走りすぎたな。次回までに意見を纏めておくように。他の者にも命じるぞ」
「御意」

 辺境の貴族達も、ホッとしたような表情を浮かべておる。
 基本的に皇太子殿下の意見に賛成しようが、平民達にも聞いてみなければ、ならぬな。

「では、次だ。こちらも厄介だぞ」

 皇太子殿下が再び口を開いた。
 部屋の中の誰もが緊張しておる。わしとても何を言い出すのかと、戦々恐々じゃ。

「帝国には現在、多数の農奴がいる」

 ふむ。農奴問題か……。
 これもまた厄介じゃのう。

「農工業の効率化を目指すとなれば、農奴たちの身の振り方を考えねばならん。ブラウンシュヴァイク公」
「はっ」

 皇太子殿下に声を掛けられ、公爵も緊張しておるわ。

「公のところにも、農奴は多数いよう。農業、工業を効率化、機械化した際、農奴は必要か?」

 必要かと問われるか?
 うむ。必ずしも必要とはいえぬ。農奴とは基本的に単純労働者じゃ。

「必ずしもいるとは限りません」
「では
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