第28話 「帝国の現状」
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を建て、教師を呼び、教育を施す。いったいどれぐらいの期間が必要だ? そこまでの余裕はないだろう」
辺境の貴族達が頷いている。
彼らからしてみれば、現状通りなのだろう。はい、そうですかと平民に権利を与え、代表者を選ばせてもうまくは行かない。それが身に沁みて解っているらしい。
「次に管理者を派遣するという話だが、これはそのまま中央と辺境の争いになる。理由は先ほど、言った通りだ。それに統治に失敗しても、しょせん官僚だからな。失敗が即、収入に直結する貴族とは違って無責任になりがちだ。別の収入があるやつにさせても、今一、必死にはなりきれん。よってこれも却下する」
ふと気になって、ブラッケの方に目をやると、泣きそうになっておる。
やはり夢を見ておったのじゃな。平民に権利を与えれば、全てうまくいく。そんな夢のような事が現実にあるものか。
むしろブラッケ以外の事務局の連中は、真摯に受け止めているようじゃ。結構結構。
「ただ、平民達にも政治には参加してもらう。統治者である貴族は、領地の平民達から選ばれた代表者および専門家たちと協議を行い、政策を実行に移す。惑星単位ではあるが、平民達に自分達の代表を選ばせる。今でも平民達の中心になる奴がいるだろう? そいつらを正式に任命する事になる」
思わず息を飲んだわ。
平民達の中心人物を取り込むお積りじゃ。そうなれば平民達も自分達の意見を言う事ができよう。貴族も無視はできまい。その上で統治に協力させる。不平不満は、貴族よりもまず、自分達の代表者に向かうであろう。
「まず、ここまでで何か意見はあるか?」
皇太子殿下が席におる者たちをぐるりと見た。
「宜しいでしょうか?」
真っ先に手を上げたのは、オイゲン・リヒターじゃった。
「許可する」
「ありがとうございます。閣下は平民達に政治参加をさせると仰いましたが、今の段階では政治的発言というよりも、貴族へお願いするだけになると思われます。それではとても政治参加とは言えないでしょう」
リヒターはまっすぐ皇太子殿下を見つめている。
なかなか良い眼光じゃ。
「残念ながら、そうなるだろうな。しかし自分達の要望を述べる場ができた以上、遠からず意見を述べるようになると思うぞ。人間というのは強かなもんだ」
「しかし貴族による報復、いえ弾圧を恐れて、何も言えないのでは?」
「絶対にないとは言えんな。バカはどこにでもいる。だが正式な代表者である以上、政府に訴える権利を持つ。その時には調査が入る事になるだろう。そして調査は平民が行う」
「はあ〜っ?」
思わず、わしを含め、部屋の中にいた者たち全てが、声を上げたわ。
すると何ですか?
統治は貴族。そして平民の代表者と協議。しかし事が起きれば、平民
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