暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第43話 其々の想い
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 シリカは……流石に言葉が出てこなかった。
 リュウキは、自分に想像もつかないことを経験しているんだ。確かに、何かあるだろうと思ってはいた。でも、それは文字通り想像以上だった。

(親がいない……? 致命的なミス……? こんな……自分とそんなに変わらない歳(と思う)の男の子が、一体どれだけのことがあったの……? なんて……言えば……)

 シリカが自問自答を繰り返していた時だ。

「リュウキ」

 キリトの方からリュウキに声をかけていた。

「……ん?」

リュウキはキリトの方を見た。

 「お前の事……少し知れた気がするよ」

 キリトはそう言うと、続けた。

「励まされた相手を励まし返す、なんてちょっと変だが、オレはお前以上に優しいプレイヤーを、人を見たこと無いと思うぜ? そして、これまでで多分。オレと同じ、基本ソロのお前。オレが一番お前との付き合いが長いと思う……。目的とその教えだけ、とは思えないがな。さっき言ったように、オレと同じ……な」

 そう言い終えると、キリトは最後には笑っていた。

「そう、か……?」

 リュウキはキリトに……聞くように返した。

「そうですよっ!!」

 シリカがキリトに続くように言った。
 言葉が上手く出てこないけれど、キリトが先に言ってくれたと言う事もあり、勇気が持てたのだ。だから、シリカは必死に言葉を繋げる事が出来た。

「さっきだって、リュウキさんっ認めてくれなかったけれど、あたしの為に……あたしの為にあの人の前に立ってくれたじゃないですかっ! リュウキさんはとても優しい人です! キリトさんもリュウキさんも。あたしの恩人ですっ! だって、だって…… あたしを……助けてくれたもん!」

 シリカの必死な言葉は2人には伝わる。痛い程、伝わってくる。2人とも、励ましてくれている。それは、よく判った。
 嘘偽りの無い言葉というものがよく判ったのだ。

「……ん。ありがとう。2人とも」

 だから、自然に礼を言う事が出来ていたのだ。感謝の言葉を言う事が。
 正直、感謝を言うのは、あまり記憶が無い。こうやって直接的になんて。この世界に来て本当に沢山の事が経験出来る。


「あっ……」

 シリカはその顔を見て、表情を緩めた。
 真剣に言葉を探し……どんな言葉を言えば良いのかわからなかったから。そのリュウキの顔を見て、本当に嬉しかった。自分がまるで慰められた様にだ。

「お互い様……だな」
「ああ、まったくな」

 キリトとリュウキ、2人とも互いに笑っていた。

「よ、よかったぁ……」

 2人の表情を見てシリカもほっと撫で下ろしていた。自分が、訊いてみたい、と思ってしまったから、訊いてしまったから、表情を暗めてしまっ
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