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だから今のその顔は諦め半分、決意半分って感じしてる。
でも、私はこうも思うのだ。
総てを知るって言うのは本当に幸せに繋がるのか、と。
暴いた真実が残酷で、自分自身を傷付けないと、どうして断言出来る?
私はゆかりが心配だ。
裏瀬くんはある種超然としているから、どんな真実でも最後には一人でちゃんと呑み込めるだろう。
けど、ゆかりは違う。
強いように見えて、本当は誰よりも傷付き易い優しい女の子、私の大事なお友達。
せめて真実が優しいものであることを祈ることしか――――違う。
そうじゃない、それでは余りにも友達甲斐がなさすぎる。
どんなに鋭く、茨のような真実であろうと、支えてあげればいいんだ。
私はゆかりを友達だと思ってる、だったら傍で支えて、立ち上がれる手伝いをすればいい。
一人で歩くのが怖いなら、闇の中で一緒に手を繋ごう。
どんな暗闇であろうとも、誰かと一緒なら――――きっと、乗り越えられるから。
「でも……はぁ……行かなきゃ駄目?」
順平の声で一気に引き戻される。
…………どうにも、深く考え込みすぎていたみたい。
うん、ちょっと反省。
「決まりね。明日の夜に出発だから、そのつもりでよろしく」
ビビりな順平のリアクションなどガンスルーでゆかりは話を締めくくった。
トホホと肩を落とす彼の姿は……何だろ、ちょっと笑える。
コメディリリーフって言うのかな? 順平はそう言うのがよく似合う。
勿論悪い意味じゃなくて良い意味で。
「まあまあ順平、元気出しなよ」
「キミッチは肝据わりすぎなんだってば……」
まあ、そりゃ女は愛嬌と度胸を兼ね備えた無敵艦隊だもん。
でも好きな人の前ではただの乙女に!
ちょっと痛いフレーズかな?
「ほら、いざとなれば打つ手もあるし」
「打つ手?」
「不良って言うならさ、裏瀬くんの名前出せばいいでしょ?」
利用するみたいでアレだけど、裏瀬くんの性格からして絶対気にしないはずだ。
知り合いでも何でもない人が名を騙ったり威を借るとかだったら駄目だろうけど……
「いやでも、それもどうかと思うぜ? 噂なんだけどさ、前に裏瀬の名前使ってやんちゃした奴いるらしいのよ」
「ほうほう、それで?」
「ボッコボコにボコられてブリッジからバンジーさせられたらしいぜ」
「そりゃ自業自得じゃない。緊急避難にくらいだったら怒らないよ」
そのバンジーさんは裏瀬くんが煩わしいと思うことをやったから見せしめになっただけだと思う。
長い付き合い――――とは言えないけど、何となくそんな気がする。
だからちょっとした緊急避難くらいでは目くじらを立てないはず。
「ま、頑張ろ! ね?」
「うーっす……」
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