第百四十話 妻としてその六
[8]前話 [2]次話
「どうした陣でもな」
「ただひたすら突き進みですか」
「右大臣殿に迫るのですか」
「そうじゃ、そうする」
絶対にだというのだ、そのうえでだというのだ。
「勝つからな」
「では」
「我等殿と共に進みます」
こう言ってだった、そうして。
「必ず勝ちましょう」
「何があろうとも」
「そうするぞ、よいな」
長政はもう朝倉家を頼りにしようとはしなかった、そうしてだった。
彼等だけでlこの戦に勝つことを覚悟した、そのうえで今意を決して小谷城を後にした、長政は城の方を振り向くことはなかった。
浅井家と朝倉家は小谷城から南下する、既に織田家と徳川家の大軍は近江に入り長宗我部の軍勢も迎えていた、元親は信長の前に出て言った。
「では我等もですな」
「うむ、参陣せよ」
信長もこう元親に答える。
「よいな」
「はい、さすれば」
「ではじゃ」
信長は元親に応えながら言う。
「今より姉川に向かいじゃ」
「あの南側ですか」
「姉川の南にですな」
「そこで布陣する」
い並ぶ家臣達にこのことを告げた。
「よいな」
「姉川になりますと」
それを聞いてだ、竹中が言って来た。
「そこまでおびき出す必要がありますな」
「ではおびき寄せる為にはどうする」
「まずはこの城を攻めましょう」
浅井家の城の一つだ、今開いている地図にあるそこをだというのだ。
「まずは」
「そしてそのうえでじゃな」
「はい、あらためて姉川にまで浅井朝倉の両軍をおびき寄せるのです」
「あえてじゃな」
「そうしましょう、姉川で待ってもいいのですが」
実際に多くの者はそうしようと考えていた、布陣を整えた上で浅井朝倉の軍勢を迎え撃とうというのである。
だが、だ。竹中はこう言うのだ。
「それですと浅井朝倉は攻める場所を選べます」
「地の利はあちらにあるしのう」
「はい、ですから」
だからだというのだ。
「ここはおびき出しましょう」
「ではまずは城じゃな」
「そこを攻めて長政殿を誘い出し」
そしてであった。
「姉川の南まで退いたうえで」
「戦じゃな」
「これでどうでしょうか」
「よいぞ」
信長は竹中に対して微笑んで答えた。
「それでな」
「では」
「まずは城を攻める」
信長はあらためて主な家臣達に告げた。
「そのうえでじゃ」
「はい、そうですな」
「そして姉川ですな」
「そうする、そこで戦を仕掛けるぞ」
「ではまずは」
「城を」
家臣達も言う、織田家の青い具足と陣羽織、それに袴の者達が信長に応えて次々と言っていく。そうしてだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ