第四十二話 百物語その十二
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そのやり取りの中でだ、二人は茉莉也にこうも言った。
「けれど先輩の正直って欲望にも正直ですよね」
「ご自身の」
「まあね」
このことも隠さない茉莉也だった、平然としている。
「それはそうよ」
「やっぱりそうですよね」
「だから私達にも」
「だからどう?今からね」
二人に笑みを浮かべ誘いをかける。
「お布団の中でね」
「ですから遠慮します」
「絶対に」
「やれやれね。じゃあこれから帰るのね」
「はい、頃合を見て」
「そうさせてもらいます」
そうするとだ、二人も答える。
「とりあえず今は、ですけれど」
「ご一緒させてもらって」
それでだというのだ。
「帰られる家に帰られます」
「そうさせてもらいます」
「足が動くうちに帰らないとね」
そうしなければというのだ。
「さもないとね」
「jはい、わかってます」
「ですから」
こう話してそしてだった、二人は今は茉莉也と共に飲んだ。茉莉也からの誘いはまだあったがそれをかわしてだった。
そうしてだ、次の怪談場所のことも話した。
「さてと、うわばみさんですね」
「あの人のところですね」
「またお酒よ」
引き続いてという感じだった、まさに。
「飲むわよ、次も」
「何かお酒ばかりですね私達って」
「どうも」
「お酒は女を磨く水よ」
完全に人間としてどうかという言葉だった。
「だから幾ら飲んでいいのよ」
「ううん、何か高校入って飲んでばかりですけれど」
「それも青春なんですね」
「そうよ、青春よ」
その通りだというのだ、茉莉也も。
「当たり前でしょ」
「八条町以外では高校生はお酒飲めないですけれどね」
「表向きには」
あくまで八条町だけだ、この町では町の条例で特別に十五歳になればそれで酒が飲めるのだ。それはこの町がかなりの酒好きばかりいるせいだ。
だがそれでもだ、二人はこう言うのだった。
「こうして飲んでばかりは」
「普通の青春じゃないような」
「普通じゃなくてもいいのよ」
茉莉也は堂々と言い切った。
「青春はそれぞれだから」
「ううん、そうなんですか」
「普通じゃなくてもいいんですか」
「そもそも普通が何かっていうとね」
話は哲学的なものにもなった。
「そこの辺りの定義付けが難しいでしょ」
「まあそうですけれど」
「普通っていっても」
「そりゃ全裸で町を走り回るのは変態よ」
「そういう普通じゃないんじゃないんですね」
「また別ですね」
「そうよ、普通じゃなくてもいいけれど」
だがそれでもだと、茉莉也は今も飲みながら話していく。
「変態さんは駄目だからね」
「ですよね、やっぱり」
「そこは」
「そう、普通って何か」
茉莉也はまた言った。
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