第四十二話 百物語その七
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「凄く図々しい感じですよね」
「どうも」
「遠慮は無用よ」
茉莉也は二人にはっきりと言い切った。
「二人共学科は違うけれど私の後輩だし、それに」
「それに?」
「それにっていいますと」
「妖怪さん達なんか皆何百年も生きてるのよ」
だからだというのだ。
「皆遠慮なんていいって思ってるから」
「じゃあ私達もですね」
「後輩の娘には」
「ええ、その娘達にはね」
今の茉莉也の様にだというのだ。
「どんどん振舞うのよ、いいわね」
「はい、わかりました」
「じゃあその時は」
二人も茉莉也の言葉に頷く、そしてだった。
三人で茉莉也の神社に入り今日は茉莉也の部屋で飲んだ、ワインだが杯で飲んでいるがそれは何故かというと。
「やっぱり神社ですから」
「それで、なんですね」
「グラスじゃなくて杯ですか」
「これになるんですね」
「そうよ、まあそこはね」
茉莉也は大杯を左手に持ち黒田武士の様に豪快に飲みながら言った。
「割り切ってね」
「それで、ですね」
「今はこうして」
「そう、飲んで飲んで」
杯の中の赤ワインをだとだ、二人に言う。
「お酒は一杯あるから」
「チーズもかなりありますね」
「それも各種」
二人はチーズも見て話した。
「カマンベールもモツァレラもありますし」
「他のチーズも」
「チーズ好きなのよね、中にはね」
茉莉也は普通の六個が丸い箱に収められているチーズを食べながら言った。
「凄い匂いのもあるけれどね」
「ありますね、本当に」
「中には凄い匂いのチーズも」
「それこそお風呂入っていない人の様なね」
つまり異臭だというのだ。
「一ヶ月位ね」
「何か生々しい例えですね」
「そうした人と会ったことは」
「あるのよ、これが」
それで言葉に出せるというのだ。
「一度ね、お祓いでずっとお部屋に引きこもっていた浪人の人がいて」
「それでその人がですか」
「一月お風呂に入ってなくて」
「完全に欝になってたのよ、そうした幽霊に取り憑かれてて」
そしてその浪人生を助けた時にだというのだ。
「まず臭いに困ったわ、けれどお祓いしたらね」
「それでその人も元に戻ったんですか」
「助かったんですね」
「そう、それでお祓いしたらすぐに元に戻って」
欝になり引き篭っていた原因がなくなったからだ、それでその浪人生も本来の性格に戻ってそうしてだというのだ。
「今は八条大学のアイドルよ」
「アイドルって女の子なんですか」
「男の人かと思ってたら」
「引き篭りは男女共通よ」
そして欝もだというのだ。
「悪霊が憑くのもね」
「どっちでもですか」
「逃れられないんですね」
「そう、だからね」
「先輩がお祓いしてですか」
「元気になられたんですね」
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