第98話
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夢幻を両手で持ち、男の背後から斬りかかろうとした時だった。
男の言葉が聞こえた。
「いや、実に惜しい。
あと、一歩の所だったな。」
麻生は見た。
後ろから迫り来る、刀を弾いた時に男は片手で刀を持っていた。
空いている手は空間から出ている刀の柄を掴んでいた。
次の瞬間、男の身体は麻生の視界から消え、胸に横一閃に傷ができ血が溢れだす。
突進していたが、一気に膝が崩れ前に倒れる。
ドクドク、と胸から血が流れ出す。
「この我がもう一刀の刀を抜かせるとはな。
お前が初めてだぞ、星の守護者。」
そう、この男の本来の武器は二刀を扱う剣士だった。
こちらに歩いてくる足音が聞こえるが、麻生は動く事が出来ない。
意識も朦朧とし、立ち上がる事すら困難な状況だ。
男の足音がもう目前まで近づいていた。
「実に楽しい死合いだったぞ。
最後だ、その命は貰い受けるぞ。」
刀の剣先を麻生の心臓に向け、振り下ろそうする。
その瞬間、蒼い光が男に向かって飛んでくる。
それを見た男は後ろに跳んで、その光をかわす。
その光は麻生の顔の横で止まると、何やら形を作っていく。
朦朧とする意識の中だが麻生はその形に見覚えがあった。
それは猫だ。
麻生に何度も意味深な言葉を残したあの猫だ。
「そこまでだ。
去れ、去らぬというのならこの私が相手になろう。」
「ほう、貴様は確かフレアの報告にあった猫か。
面白い、できれば相手をした頂こうか。」
男は二刀の刀を持ち、構えをとる。
座っていた猫も腰を上げ、男の睨みつける。
両者の殺気がぶつかり合う。
一触即発の雰囲気だったが、そこにブクブクと地面から泡が噴き出してくる。
泡が一つ潰れると声が聞こえた。
「アンファル、まだ戦っているのですか?
すぐにそこから退避してください。」
それはあの女性の声だった。
その言葉を聞いて、男は殺気を出すのを止めて泡に話しかける。
「理由を聞こうか?」
「色々と報告がありますので、貴方も幹部の一人なら戻ってきてください。
これは教皇様の命令でもあります。」
それを聞いてむっ、と声をあげる。
少しだけ時間が開くと、分かったと告げる。
それを聞いた泡はパチン、という音をたてて消える。
二刀の刀を空間の歪みに差し込み、猫に背を向ける。
「運が良いな。
その命、まだ預けておこう。
次に会った時は我も全力で相手をしよう。」
それだけ言って男はスラム街から突然消え去る。
その言葉を最後に麻生の意識も途絶えるのだった。
気がつき、見知らぬ天井が見えた。
麻生は自分の見ている天井が、病院の天井である事に気がつくのに少
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