暁 〜小説投稿サイト〜
とある星の力を使いし者
第98話
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

夢幻を両手で持ち、男の背後から斬りかかろうとした時だった。
男の言葉が聞こえた。

「いや、実に惜しい。
 あと、一歩の所だったな。」

麻生は見た。
後ろから迫り来る、刀を弾いた時に男は片手で刀を持っていた。
空いている手は空間から出ている刀の柄を掴んでいた。
次の瞬間、男の身体は麻生の視界から消え、胸に横一閃に傷ができ血が溢れだす。
突進していたが、一気に膝が崩れ前に倒れる。
ドクドク、と胸から血が流れ出す。

「この我がもう一刀の刀を抜かせるとはな。
 お前が初めてだぞ、星の守護者。」


そう、この男の本来の武器は二刀を扱う剣士だった。
こちらに歩いてくる足音が聞こえるが、麻生は動く事が出来ない。
意識も朦朧とし、立ち上がる事すら困難な状況だ。
男の足音がもう目前まで近づいていた。

「実に楽しい死合いだったぞ。
 最後だ、その命は貰い受けるぞ。」

刀の剣先を麻生の心臓に向け、振り下ろそうする。
その瞬間、蒼い光が男に向かって飛んでくる。
それを見た男は後ろに跳んで、その光をかわす。
その光は麻生の顔の横で止まると、何やら形を作っていく。
朦朧とする意識の中だが麻生はその形に見覚えがあった。
それは猫だ。
麻生に何度も意味深な言葉を残したあの猫だ。

「そこまでだ。
 去れ、去らぬというのならこの私が相手になろう。」

「ほう、貴様は確かフレアの報告にあった猫か。
 面白い、できれば相手をした頂こうか。」

男は二刀の刀を持ち、構えをとる。
座っていた猫も腰を上げ、男の睨みつける。
両者の殺気がぶつかり合う。
一触即発の雰囲気だったが、そこにブクブクと地面から泡が噴き出してくる。
泡が一つ潰れると声が聞こえた。

「アンファル、まだ戦っているのですか?
 すぐにそこから退避してください。」

それはあの女性の声だった。
その言葉を聞いて、男は殺気を出すのを止めて泡に話しかける。

「理由を聞こうか?」

「色々と報告がありますので、貴方も幹部の一人なら戻ってきてください。
 これは教皇様の命令でもあります。」

それを聞いてむっ、と声をあげる。
少しだけ時間が開くと、分かったと告げる。
それを聞いた泡はパチン、という音をたてて消える。
二刀の刀を空間の歪みに差し込み、猫に背を向ける。

「運が良いな。
 その命、まだ預けておこう。
 次に会った時は我も全力で相手をしよう。」

それだけ言って男はスラム街から突然消え去る。
その言葉を最後に麻生の意識も途絶えるのだった。












気がつき、見知らぬ天井が見えた。
麻生は自分の見ている天井が、病院の天井である事に気がつくのに少
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ