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とある星の力を使いし者
第98話
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 対する俺はそろそろ限界が近い。
 勝負に出るしかない。)

両手の刀を強く握りしめる、麻生。
今度は麻生の方が刀で衝撃波を打つ。
それも一発ではなく五発連続。
男はその五発の衝撃波を全て相殺する。
その際にも土煙が辺りを覆い尽くす。
そして、土煙の中から麻生が男に向かって突進する。

(目隠しして反応を鈍らせたつもりか?
 そうだとすると、甘いぞ。
 この程度で狼狽えると思ったか!)

刀を両手で持つと、麻生が突進してくるタイミングに合わせて一気に振り下ろす準備をする。

(これで終わりだ。)

突進してくる麻生の行動を完全に先読みしたと思った男だったが、その予想を裏切る行動を麻生がとった。
突然、両足を使って減速し始めたのだ。
これを見た男は驚きの表情を浮かべる。
ガガガガガ!!という音とコンクリートを削りながら減速する。
その際に、ミシミシという音が足から聞こえたが麻生は気にしている暇がない。
完全にタイミングがずれ、小さな隙が生まれる。
その隙を見逃す麻生ではなかった。

八花螳楼(はっかとうろう)!」

二刀の刀を振るい八つの斬撃が男に襲い掛かる。
しかし、男はタイミングをずらされ、隙を生んだにも拘わらずその八つの斬撃を全て防ぐ。

「惜しかった「まだだ。」・・・ッ!?」

裂閃爪(れっせんそう)!」

たて続けに今度は閃光の如き爪の斬撃が八方向から襲い掛かる。
だが、それすらも男は防ぎ切る。
その時、麻生は男に向かって右手の刀を投げつける。
防ぎ切り、一瞬の硬直状態を狙い、投げつける。
さすがに防ぐ事はできないと思ったのか、身体を捻り飛んでくる刀をかわす。
そして、今度こそ麻生は男に向かって最大速度で突進する。

「良い手だが、我はまだ対応できるぞ。」

麻生の方を見て、余裕の笑みを浮かべた時だった。

「来い。」

その麻生の言葉が聞こえた。
男の耳にはっきりと聞こえる。
風を斬り裂く音と同時に何かが男の背後から飛んでくる事を。
確認しなくても何が飛んできているのか分かった。
麻生が先程投げた刀だ。
あの刀の夢幻の力で作られた刀だ。
夢幻の力が継続される限り、麻生は操る事が出来る。
迫り来る音を聞いて男は一瞬で考えた。

(このまま星の守護者に斬りかかれば、紙一重で早く刀が我の身体を貫く!)

次の行動は決まっていた。
身体を無理矢理動かし、後ろへ振り向き迫り来る刀を弾き飛ばす。
それは麻生に完璧に背を向けたという事。
先程の小さな隙とは違い、完全な大きな隙だ。
麻生はこれを狙っていた。
今までの攻撃は全て防がれると予想していた。
なので、裏の裏の裏をかく作戦を考えた結果がこれだ。

「これで終わりだ!」

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