閑話 アレスとの出会い2
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一人。アレスが席を立ち、フォークに近づいた。
見守る中で、手を差し出すと、さすがのフォークも紙を渡していた。
スーンとフェーガンが同時に席を立つ。
互いに小さく苦笑を送りながら、アレスに近づいていた。
後ろから紙を覗く。
そこには新聞の記事を少し細かくした内容が残っていた。
それでも紙が一枚ほどだ。
たった一枚――それだけで、サハロフを含む数百人の命を奪った結果となっている。
そんな現状に、スーンは唇をかみしめた。
『第七艦隊本隊を哨戒ため出発した巡航艦が、敵偵察隊を発見――戦闘を行ったものの、巡航艦は撃破された。偵察隊はそのまま撤退、被害は巡航艦一隻に留まった』
要約すれば、二行ほどですむ結果であろう。
そこに巡航艦が配属されていた隊や指揮官の名前――敵艦隊の数や時系列などが細かく載って、一ページに増えている。
「アレ……」
声をかけようとして、スーンは声をかけられなかった。
紙を見ていた、アレスが笑っていたからだ。
その笑みは、この一年間で何度か目にする事になった。
相手を敵と認めた時に、笑う――悪魔の笑みだ。
しかし、それも一瞬で、アレスが紙を返せば、フォークが戸惑いながら受け取った。
静かに席に戻る。
何事もなかったような動作は、周囲の人間は誰も気づいていないだろう。
おそらく気づいたのは、スーンとフェーガンだけだ。
席に戻るアレスを追いかければ、アレスは鞄を手にしていた。
スーンも追いかけるのを途中でやめ、自分の席に戻る。
鞄を手にする。
すでにアレスは扉を開けていた。
不思議に思う中で、スーンは紙を手にする。
そこには戦闘の詳細とともに――巡航艦を送った、分艦隊の名前が書かれていた。
即ち――分艦隊司令、サンドル・アラルコン大佐と。
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