閑話 アレスとの出会い2
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果がフェーガンの対戦相手になるのは可哀そうなことだった。
嬉しそうにフェーガンが近づいてくるのを、アレスが首を振って、何とか断ろうとしている。
「アレス」
「嫌だ」
「まだ何も言ってないが」
「フェイスガードとトマホークを二つ持ってきて、それ以上の言葉はいらないだろう?」
「……試合をしよう」
「人の話を聞けよ、おい!」
「いいんじゃない。ほら、妥協はしないんでしょう?」
「ばか。妥協はしないが、出来る事と出来ない事ってのは人間決まっているんだ」
「ほらほら」
スーンはくすくす笑いながら、アレスを押しだした。
首根っこを掴まれたアレスが抵抗するが、フェーガンは一向に解さない。
そのまま悲鳴とともに離れていくアレスに、スーンは手を振って見送った。
笑いながら、スーンも六カ月で変わることが出来たと思う。
ただ諦めることではなく、自分の出来ることを精一杯やろうと思う事が出来た。
アレスのように大きな結果が出る事は少ないが、それでも精一杯やったと思う事が出来る。
そう思えれば、それまで悩んでいたことが詰まらない事であったと思うことができた。
自分の変な名字も好きになった。
例え、まともに呼ばれる事がなくても、自分はスールズカリッターなのだと胸を張ることができたのだ。
アレスのおかげかなと、小さく笑いながら試合場を見る。
人が飛ぶところ初めて見たなぁ。
アレスがフェーガンの蹴りをまともに受けて、試合場を水平に飛んでいった。
おそらくめちゃくちゃ痛い。
そのまま試合場の端にぶつかって、止まった。
「御愁傷さま」
「いいかな」
小さく呟いたスーンの後ろから、声がかかった。
振り向いて、それがサハロフであることに気づき、慌てて敬礼をする。
そのままでと、サハロフが小さく手で押さえながら、スーンの隣に並んだ。
「マクワイルド候補生も随分と強くなったようだな」
「ええ。まぁ、多少は可哀そうになりましたが」
「フェーガン候補生は別格だからな。学生どころか、ローゼンリッターでも手を焼くだろう。それでいて、本人は艦隊運用科を志望しているのだから。陸戦指揮科の教官が嘆いていたよ」
「本人は卒業後すぐに結婚したいみたいですから」
「確かに陸戦指揮科は卒業後は各地の陸上警備だからな。少なくともハイネセンは離れる事になるだろう。それでももったいない話だ」
「本人の希望ですからね。学生教官はこの後どちらにいかれるのですか?」
小さく首を振るサハロフに、スーンが話を振った。
学生教官がいるのは、四月から九月までの六カ月間だけだ。
その時には 同盟軍陸戦隊として再び戦場に戻される事が決まっている。
九月も末日に近づいた現在、サハロフと会えるの
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