閑話 アレスとの出会い2
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に、スーンは言葉を考えた。
やめておけと。
こんなことをして何になると。
そもそも、君は戦略課程を目指していて、陸戦など必要ないだろうと。
きっとどの言葉も否定されるだろう。
結局彼は再び戦う事になる。
それであるのならば。
「なんでさ。何で、アレスは妥協しないのさ」
聞きたかった言葉が口をついて出ていた。
そう彼は妥協しない。
本来ならば、フォークの言葉に従っていたら良かった。
黙ってはいはいと聞いていたら、それで終わったはずだ。
サハロフが来た時もそう――そして、今日も。
彼は妥協をしない。
士官学校の優秀さに、そして何よりも自分の変な名字に――そういうものなのだと、妥協をし続けてきた自分とは大きく違う。
どうせ戦う事になるならば、それを聞いておきたかった。
その言葉に、アレスは動きを止めた。
「妥協か。そうだな、今まで妥協をし続けてきて、いつも思うわけだ」
スーンに浮かんだ疑問が言葉に出る前に、アレスは小さく笑う。
「小学校もそうだったし、中学校もそうだった。高校だって、大学だって――社会人になっても何で勉強してこなかったのだろうと思うわけだ。それでいて、社会人でもあの時ももっと粘っていたらとか、後悔だけが残る。いつも思っていた、もう一度最初から人生をやり直せたらなって」
何を言っているのか理解できない。
ただ、アレスは嘘を言っているように思えなかった。
だから、スーンは黙って彼の言葉を聞き続けた。
「どういうわけか、そんなチャンスがあった。先に言っておくが、妥協をしてもいいこと何て何も起こらないぞ。結局死ぬまで後悔している、俺が一番よく知っている」
「ちょ――」
話は終わりとばかりに、フェイスガードをかぶりなおして――アレスは再び試合場に戻った。
再び殴られる姿を見て、スーンは思う。
ほとんど意味がわからなかった。
でも、妥協をしていて――スーンは後悔してこなかっただろうか。
それならば、何故、問いかけたのか。
殴られる中で、アレスの繰り出した一撃が対戦相手の胴体に叩きつけられていた。
ああ、なりたいと思う。
妥協をしなければ、なれるだろうか。
+ + +
結局、アレスは六カ月の間で大きく成長した。
クラスでもトップクラスの実力を身につけ、学校で行われた学年別の白兵戦大会でもベスト8に入賞するほどだ。ベスト8でぶつかったのが、フェーガンであったため、もしかすると更に上を目指せたかもしれない。
ちなみに優勝はフェーガンで、ぶっちぎりだった。
フォーク達は満足に痛めつけることも出来ず、逆に戦いを挑めば痛い思いをする。
遠巻きないじめを見事に解消してみせたわけだが、その結
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