―精霊狩り―
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に使い手の命令を実行する機械のように、【機械戦士】デッキを掴みながら縮んでいく。そのまま縮んでいったマジックハンドに掴まれていたデッキは、その持ち主の手の中へと納められた。
「ちっこい精霊ばっかだが……大量だな」
バイクのような物に乗って現れたその男は、【機械戦士】デッキをバイクに取り付けられた球状の箱に入れると、こちらに視線を向けた。その視線は鋭くこちらを射抜き……いや、何やら品定めをしているような視線だ。
「誰だお前……機械戦士を返せ!」
「返せと言われて返す馬鹿はいねぇ。そしてオレの名前は、精霊狩りのギース、だ」
精霊狩り。ギースと名乗った男の言ったことに、俺は一瞬で事態を悟って戦慄した。カードの精霊を狩るものということは、あの伝説のグールズと同様に……『デッキを狩る』ということと同義だからだ。
「精霊狩り……?」
「ああ。この世にはびこる精霊を狩って、コレクションしてるような奴に売りつけるのが俺の仕事だ。このアカデミアは大量で、今はデュエリストも倒れてやがる」
明日香の質問に嬉々として答えたギースを、早速プロフェッサー・コブラ側のデュエリストと判断すると、明日香から離れて一歩前に出た。精霊狩りだか何だか知らないが、【機械戦士】をくれてやる訳にはいかない……!
「【機械戦士】を返してもらおう!」
「だから、返せって言われて返す馬鹿はいねぇ。オレとデュエルしても良いが、デッキは持ってんのか?」
自然と俺は、ポケットに入っているもう一つのデッキホルダーに手を伸ばすが、あの趣味のデッキで勝てるはずもない。しかしここで勝たなければ、【機械戦士】デッキを取られてしまう……!
「デッキなら……」
「私が代わりにデュエルするわ」
もう一つのデッキを取りだそうとした俺を制し、明日香がデュエルディスクを構えながら前に出た。デュエルディスクにはもちろん、彼女のデッキである【サイバー・ガール】が取り付けられている。
「ん、そっちの女か? ……まあ良いだろう、ネオスペーシアンと宝玉獣相手の肩慣らしには丁度良い」
やはりギースの目当てはコブラの元へ行っている十代とヨハン……正確に言えば、その二人の精霊とデッキ。彼らが本校に帰ってくる時は、十中八九コブラとのデュエルで疲弊している……ギースは、そこを狙っているのだろう。
「遊矢。ちょっと聞いてくれる?」
ギースがバイクから降りてデュエルの準備をしている間に、明日香はこちらを振り向かずに話しかけて来た。つまりはギースの方を見ている為に、その表情は伺いしれない。
「私は三沢くんみたいに頼りにならないかも知れないけど、遊矢と一緒に戦うぐらいは出来る。いつも守ってくれてありがとう。……これからは、私も一緒に」
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